湿度の高い、うだるような日本の暑い夏…そんな中で皆さんが飲みたくなるお酒は何ですか?
選択肢はたくさんありそうですが、スッキリとしたタイプが好まれるのではないでしょうか。
いわゆる「コクのある味わい」のものは秋や冬の方が需要があるような気がします。
しかし、日本人ならではの、幼い頃から夏は冷たい麦茶に親しんできた習慣がついているせいでしょうか…私はガッツリ香ばしい無濾過の麦焼酎のソーダ割りが無性に飲みたくなる季節なのです。
余談ですが、ノンアルコール飲料がかなり発展しているにもかかわらず、本格焼酎風味のノンアルコール飲料はまだあまり普及していないので、お酒を飲めない時は麦茶のソーダ割りを飲んで誤魔化していました(笑)。
目次
焼酎の無濾過とは
蒸留したばかりの本格焼酎の原酒には、高級アルコールの混合物の総称で脂肪酸である「フーゼル油」というものが含まれており、それが多すぎるとオイリーな臭みや濁りが生じる原因となるため、濾過して取り除く作業が一般的な本格焼酎造りでは行われます。
しかしフーゼル油は本格焼酎本来の旨みや香り成分の元でもあるのです。
無濾過麦焼酎の味わい
よく「麦チョコのような」と表現されていることが多いです。
とても香ばしく、麦茶を作るパックをそのまま嗅いでいるくらいガツンと強い焦がした麦の良い香りと共にカラメルのような甘やかさも感じられます。
原材料の個性がしっかりと表れているこの類のものは「クセがある」といわれる部類に属されがちですが、私はよく「クセがない」に属されるであろう洗練されたクリアな風味の焼酎の方がアルコール臭が際立って感じてしまい得意ではありません。
泡盛や芋焼酎の香りを、くさいとかクセがあるとか表現されるのは確かに理解出来るのですが(なぜなら、それらに近い香りを我々が昔から身近に親しんできたものがあまり思いつかない)本当に麦チョコやポン菓子ようなニュアンスのある無濾過麦焼酎は日本人ならば誰でも懐かしさを感じる香りだと思います。
筆者が愛飲する無濾過麦焼酎
ここで、私が個人的に好きな無濾過麦焼酎を一部ご紹介致します。
《麦汁 超にごり 豊永酒造》
国産裸麦100%使用の麦焼酎「麦汁」の夏限定バージョン。
ブルーのラベルが涼し気で夏らしいですね。
蒸留は常圧蒸留
麹についての記載は見つからなかったのですが、こちらの原酒の方には黒麹:白麹の使用比率は2:1との記載があったので恐らくそうかと。
開けたては少しシュワっとしており、濃厚な香ばしい裸麦の香りと、とろみのある深い甘さが印象的。
毎年造り方が変わるのも楽しみのひとつ。
無濾過といっても必要最小限の不純物を手作業で取り除いたりするのですが、今年はにごりの香りと味わいを今まで以上に引き出し楽しめるようにと油すくいも全く行わない無調整・無濾過で瓶詰めされています。
ちなみに去年はウイスキー樽仕込でした。
《釈云麦 西吉田酒造》
蒸留は常圧蒸留
黒麹使用
麦麹の独特な強い香り。
味わいは無濾過ならではの重みや深みがあり、麦そのものの甘さが強く、後味の余韻が長い。
ラベルの梵字も素敵です。
まとめ
勿論寒い時期にはお湯割りでも香りがより引き立ち、オススメです。
一個人の意見ではありますが、無濾過麦焼酎は決してネガティブに使われる「クセのある」ではない気がするのです。
今まで本格焼酎に苦手意識があった方にこそ是非試して頂きたいと思います。