プレミアムビールとしてまず思い起こされるのが“エビスビール”。今では大手各社ともプレミアム・レンジの商品をリリースしていますが、エビスはその先駆けとなった商品でもあります。
と言ってもエビスビールの歴史は古く、明治期に遡りますので、昨今“プレミアムビール”として発売されている他の商品とは、少し存在感が違います。
サッポロビールの麦100%ブランドとして造られてきたエビスも、2000年代に入ってからは戦略的観点から、様々な味を展開する一大ブランドに仕立て上げられました。
このコラムでは、最近(2019年現在)売られているいくつかのエビス商品について、リポートしてみます。
琥珀ヱビス with プレミアムエール飲み比べ6種12本セット
目次
エビスビール
まずは全ての基本、スタンダードのエビスビール。金色の缶の、おなじみの一本です。
ビールのスタイルはドルトムンダーというタイプ。こう書くとわかりにくいですが、他のほとんどの日本のビールと同じ、いわゆるピルスナー系です。
非常に調和のとれた味わい。時代のニーズを反映してか、以前よりホップの香りが強く、甘みも感じる。苦みはそれほど主張せず、80年代半ばに生ビール化されてからはさわやかさも増し、軽やかな味わいに。
琥珀エビス
エビスの秋冬商品ですが、料飲店では通年提供されている様です。
クリスタル麦芽を配合した、ワンランク上のエビスという触れ込み。
色調は名前の通り淡いアンバー、口当たりはすごくマイルド。ガス圧も少し低めなのではないでしょうか。泡もクリーミーです。
非常に香り高く、香ばしい風味としっかりした酸味。後味に苦みが残るが、余韻は短め。
プレミアムエール
こちらはピルスナーではなく、上面発酵のエールタイプのエビス。クラフトビールのブームもあってか、大手も色々造るようになってきました。
色は濃い茶褐色、琥珀より黄色みがあります。開けたて時の香り立ちがすごくよく、苦みは中程度。しっかりした酸でキレが良く、大手メーカーらしくかなりすっきり味のエール。
冷えて過ぎていると、エールらしいコクもそれほど感じられないので、少し温度を上げた方が香りも味わいも良くなりそうです。
サッポロ ヱビス プレミアムエール [ 350ml×24本 ]
華みやび
エビスビールで初めての上面発酵ビールとして発売された、小麦麦芽を使用したホワイトビールです。
かなり淡い黄金色で、華やかな甘い香りが強烈に香ります。穏やかな酸味と優しい苦み、甘みも感じられる味わい。レモンの様な風味もあり、全体に軽やかだがしっかりした印象。クラフトビールの様な佇まいの一本です。
フレンチピルス
エビスwithジョエル・ロブションとしてシリーズ化されていた商品の一本。2018年に他界したそのフレンチの巨匠の最後の監修作ということで、麦芽やホップに特別なものを使用しています。
かなり淡いレモンイエローの色調。香りは穏やかですが、余韻で鼻から抜ける香りが特徴的。
華やかな香味と穏やかな酸味、意外にしっかりとした苦み。全体的にはパッケージほどの華やかな印象はなく、真面目なビールという感じ。
雫 SHIZUKU
セブン&アイグループ限定発売の商品。雫の様な上質で凛とした味わいということです。穀皮分離製法を採用し、穀皮に含まれる雑味成分を軽減し、渋みのバランスを整えたというあたりがポイント。
茶色がかったクリアゴールド。柑橘系の白ワインの様な香りは中庸、6%という高めのアルコールから、甘みのあるアタック。口当たりは柔らかく、苦みは丸く奥ゆかしい。しっかりした酸味でスッキリした味わいだが、温度が上がると甘みが際立ちます。
エビス・マイスター
エビスを知り尽くした匠による、最高峰のエビスという商品。
濃い目のブラウンゴールド、ドッシリ系かと思いきやそれほどの重みはない。
しっかりした苦みと甘み、適度な酸で味のバランスは悪くない。泡もシルキー。
質感は悪くないが、味の方向性というところで、少し物足りなさは感じるところ。缶の手触りも凝っていて、上質感を打ち出している。
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復刻特製エビス
筆者の世代には懐かしい味わいにして、これぞエビスビールという嬉しい一本。
生になる前の熱処理製法で造られた商品。熱処理特有の苦みと厚み。酸の引き締めもしっかり、後味の余韻も長い。ホップの風味は抑えられ、現代版エビスとは明らかに違う。
キリンのクラシックラガーや、同じサッポロの赤星などを求める熱処理ファンはたくさんいるので、こちらもぜひ通年発売をして欲しいところ。
さて皆さんはどのエビスがお好きですか?
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