新潟県三条市は下田郷にある田舎カフェ『こくわや藤兵衛』で見つけた、ちょっと珍しいクラフトビール『こくわエール』。ラベルには「こくわ(サルナシ)」のイラストが描かれています。どうやらフルーツビールのようです。「どんな味なんだろう?」と期待しながら飲んでみると、これがなかなか個性的! 一体どんなビールなのか、詳しくご紹介します。
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そもそも「こくわ」って何?
「こくわ」とは、マタタビ科のつる性植物で、正式名称は「サルナシ」といいます。その果実はミニサイズのキウイのような見た目をしており、甘酸っぱく香り豊か。栄養価も高く「スーパーフルーツ」とも呼ばれています。下田地域では自生しているものが多く、昔から親しまれてきたそうです。
収穫直後のこくわは酸味や渋みが強いため、そのまま食べるには追熟が必要です。しばらく置いて表面がしわしわになってきたら食べごろで、皮ごと食べることができます。また、サルナシは加熱すると独特のイガイガ感が和らぎ、ジャムやジュース、ワインなどの加工品としても広く利用されています。
そんな「こくわ」を使ったビール『こくわエール』は、通常のビールにはないフルーティーな風味が特徴のフルーツビールです。フルーツビールというと甘いものが多い印象ですが、こくわを使うとどうなるのでしょうか?
『こくわや藤兵衛』とは?
『こくわ屋 藤兵衛』を始められたのは、有限会社 藤兵衛工房の山田社長。もともと農家だったそうですが、減反政策の影響で田んぼが減り、新たな作物を探していたところ、下田の里山に自生する「こくわ」と出会ったのだとか。下田の里山に自生していた「こくわ」を栽培し、果実の販売を始められたのちに、地域資源を活用した商品開発の一環として「こくわカレー」や「こくわソース」が誕生しました。
そして、12年前にそれらの商品のアンテナショップとして、下田地域に根ざしたカフェ『こくわや藤兵衛』をオープン。いつかは下田の名物として定着させたいという思いを込めて、「こくわ」以外にも地場で採れるさまざまな特産品を活かした商品づくりに力を入れています。
そんな『こくわや藤兵衛』がつくる『こくわエール』もまた、こだわりの一品。地元の素材を活かしたクラフトビールは、一体どんな味わいなのか、期待が高まります!
こくわエールを飲んでみた!
いよいよ実飲。グラスに注ぐと、透き通った淡い黄金色。ラベルのこくわのイラストを見ていたせいか、なんとなく緑っぽい色を勝手に想像していたので、金色だったのがちょっと意外でした。
香りを嗅いでみると、ほんのりフルーティーな酸味を感じる爽やかな香りがふわっと広がります。ひと口飲んでみると……想像以上にシャープな酸味! キウイや青リンゴを思わせるフレッシュな酸味が口いっぱいに広がり、後味もすっきり。甘さは控えめで、ビールらしい苦みもほんのり残るバランスです。「フルーツビール=甘い」と思っている人にとっては意外な味かもしれませんが、このキレのある酸味がクセになりそう。夏の暑い日に、キンキンに冷やしてゴクゴク飲みたくなるような爽快感があります!
どこで買える? どう楽しむ?
『こくわエール』は、新潟県三条市の『こくわや藤兵衛』の店頭で購入可能です。また、新潟県魚沼市の宿泊施設『浅草山荘』でも買えるようです。もしかすると、地域の特産品を扱うお店やイベントなどでも販売されることがあるかもしれません。
せっかくなら、この爽やかな酸味を活かしてペアリングも楽しみたいところ。おすすめの組み合わせは、白身魚のカルパッチョや、さっぱり系のサラダ、クリームチーズを使ったおつまみなど。フルーティーな酸味が食材の味を引き立て、相性抜群だと思います。甘みの強いものや濃厚な味付けの料理よりも、シンプルで酸味を活かせる食事と合わせるのがマッチしそうです。
下田地域の自然が育んだ「こくわ」の個性を、そのままビールに閉じ込めたような『こくわエール』。新潟のクラフトビールの中でもひと味違う、下田郷ならではのこのユニークな味わいをぜひ試してみてください。