もうすぐクリスマス。街にはたくさんの電飾が飾られ、イルミネーションがきれいに輝いています。
今回は、クリスマスの新定番となっているシュトーレンを取り上げ、日本酒とのペアリングについて考えていきます。
目次
シュトーレンとは
シュトーレンはドイツ語で”stollen”(シュトレン)、「坑道」「地下道」を意味し、クリスマスまでの間に少しずつ食べられるドイツのお菓子です。発祥はザクセン州のドレスデンと言われていますが、シュトーレンの原点の最古の記録は、1329年のナウムブルクの司教に贈られたクリスマスの贈り物であったとされています。
ドレスデンでは毎年クリスマス時期の第2アドヴェント(待降節)前の土曜日に、シュトレン祭(Stollenfest)が開催されます。このお祭りには、ドイツ国内からの観光客の他、日本人を含むたくさんの外国人観光客も訪れます。
シュトレン祭では、巨大なシュトーレンが馬車に乗せられて運ばれ、クリスマスマーケットの会場で1.2メートルのナイフで切り分けられます。その後シュトーレンは、参加者に5ユーロで販売されます(事前の引換券もあり)。
今年は残念ながら中止になったようですが、今後チャンスがあれば、ぜひこのお祭りに参加してみてください!
シュトーレンと日本酒のペアリングを考える
シュトーレンは、バターと砂糖をたくさん含んだ生地に、洋酒に漬け込まれたナッツやドライフルーツ等が含まれています。
シュトーレンがもつ風味として、以下がキーポイントになるでしょう。
バター風味、レーズン、オレンジピール、レモンピール、あんず、ドライイチゴ、クランベリー、クルミ、アーモンドプードル、洋酒、バニラ、シナモン 等
お酒とのペアリングを考える場合、一般的には次の3点が大きなポイントになります。
- 「同調する」
- 「新しい風味が生じる」(マリアージュ)
- 「料理の脂分を流す、臭みを消す」(ウォッシュ・リセット)
ペアリングは個人の好みもありますが、筆者は今回のシュトーレンの場合、「同調する」または「新しい風味が生じる」タイプからお酒を選ぶのがよいと考えました。「同調するタイプ」の場合、ハチミツ、メープルシロップやドライフルーツ等の香りがする古酒や長期熟成酒と言われる熟酒が主に該当します。または、熟酒でなくとも、しっかりとした果実感、香りがあるタイプ、更に飲んだ後も香りの余韻が続くものであればシュトーレンとも相性がいい可能性があります。
「新しい風味が生じるタイプ」では、例えばシュトーレンにはない「酸味」、特に醇酒系のヨーグルトのような乳酸を含むお酒が新しい風味を生み出すかも知れません。熟成されたシュトーレンの甘味に対して、日本酒からの酸味が組み合わされ、口の中で更に新しい味わいが華開くイメージです。
一概には言えませんが、以上のキーワードをご参考までに、シュトーレンとあうご自身のお好みの日本酒をぜひ見つけてみてください。
おすすめの日本酒
今回、シュトーレンにあうお酒として、奈良県倉本酒造産、KURAMOTO50 露葉風 無濾過生原酒を選びました。また、お酒を入れる酒器もクリスマスを意識してワイングラスにしてみました。香りを楽しみたいのであれば湾曲性の高いものを選ぶのがお勧めです。
生酒のフレッシュさ、酸味かつ米由来のビター感がシュトーレンとマリアージュします。
視覚的におもしろいラベルは、ファミコンの8 bit(1 byte)で数字(精米歩合)=2進数をイメージしてデザインされたそうです。ファミコンが、スーパーファミコン、NINTENDO 64 3Dへと開発されていったように、今後KURAMOTOを更に進化させていこうという若手杜氏、倉本氏の思いが込められています。
お酒情報
商品名:KURAMOTO50 露葉風 無濾過生原酒
製造者:倉本酒造株式会社 (奈良県奈良市)
原料米:奈良県産 露葉風
精米歩合:50 %
アルコール度数:16 %
日本酒度:±0
酸度:2.0
今年はステイホームの時間が多いと思いますが、通年とは少し違った工夫やアレンジをして、自宅で素敵なクリスマスの時間を過ごしましょう。