ついに行きつけの日本酒バルが営業再開となった。21時までの営業、20時ラストオーダーということでしばらくは仕事帰りに駆け込む日々が続くが、それでも「店に寄る」という選択肢ができたことが嬉しい。
これを書いているのは4月3日。東京ではすっかり葉桜となってしまったが、春酒の季節を堪能していく。
目次
1杯目
和歌山 平和酒造 「紀土-KID- 春ノ薫風」
「紀州の風土」と、「KID(子ども)」のような天真爛漫さをイメージして醸されているお酒。和歌山といえば梅も有名だが、平和酒造は梅酒も相当の人気を誇っている。
そんな酒造が毎年春に出す桜色のラベル。薫風とは初夏の風を表す表現だが、それを春に使うのがなんだか粋に感じられてしまう。
パイナップル的な甘みのある香りを楽しみながら口に運ぶと、まずは柔らかな口あたり。米とはちょっと違う、果実感のある優しい甘みと酸味。このまま終わるのかと思いきや、キュキュッとした渋みが後味に来る。もともと素晴らしい食中酒だけど、スッキリした飲みやすさが乗っかり、爽やかな春の夜にピッタリのお酒になっている。
2杯目
栃木 せんきん 「仙禽 さくら(OHANAMI)」
創業200年を超える、歴史のある酒蔵。「千禽」とは仙人に仕える鳥である鶴のことであり、酒造名にも酒名にもこの名が付いている。
通常のラインナップの他に季節酒も有名で、夏はかぶとむし、秋は赤とんぼ、冬の雪だるまと、新しい季節の訪れを知らせるこのお酒を楽しみにしている酒好きも多い(自分含め)。今回は春酒、桜ラベル。手描きのようなイラストがかわいくて、このラベルを愛でながら飲むだけで花見酒をした気分になる。
口開け(抜栓)直後に飲んだら結構ガス感が強かったに違いない、という発泡感。
口に含むとピリッと響く甘酸っぱさがある。熟れていないリンゴはこんな酸味だったな、と思い出すような味わい。もちろんそのままで終わらず、飲み込んだ後には口に軽く苦みが残り、その余韻がちょうどいい。
***
新年度を迎え、会社でも新しい部下が増え、また慌ただしい日々が始まる予感。日常の癒しの選択肢が増えたことを喜びつつ、1人で瓶に向き合って花見を楽しむ。