こんにちは。今回は兵庫県の魚崎駅周辺に点在する歴史ある酒蔵を巡ってきました。魚崎駅は大阪から電車で25分とアクセスも良い場所にあるため、旅行でも訪れやすく、関西在住の方のプチ旅行にもぴったりのエリアです。
阪神魚崎駅から徒歩10分圏内に「浜福鶴 吟醸工房」「菊正宗酒造記念館」「櫻正宗記念館」という3つの酒蔵がある上、激アツな昼呑みスポットまで発見しました!
どの場所も本当に魅力的でしたので、ぜひ最後まで読んで魚崎を訪れてみてください。
目次
👀酒造りの全工程を自由に見学!「浜福鶴吟醸工房」

最初に訪れたのは魚崎駅から徒歩10分ほどの場所にある「浜福鶴吟醸工房」です。浜福鶴の創業は今から200年以上も前!江戸時代後期から続く歴史ある酒蔵です。この施設では酒造りの全工程をガラス張りで見ることができます。10名以下なら予約なしで自由に見学できますし、10名以上の場合予約すれば当蔵の案内人がガイド付き見学も可能です。
醪(もろみ)仕込みが体感できるコーナーもあり、大人だけでなく子供も一緒に楽しめる施設です。
見学コーナーには「酒母室」「麹室」など、日本酒造りの各工程について解説したパネルが設置されており、実際に発酵中のタンクを目にしながら学べるのも魅力。文字だけでなく“現場”を見ることで、理解がぐっと深まります。

1階は大きな売店になっており、ここでしか購入出来ないお酒5種類を無料で試飲できます。
「仕込参號」は旬のしぼりたてで、とにかくフレッシュ。昔ながらの生酛造りによる、しっかりとした酸味が印象的です。
「米治 純米吟醸」は甘みとコクのある濃厚な味わいで、「米治 純米大吟醸」はフルーティーで爽やかな甘さが特徴。
一般的に大吟醸は精米歩合が高くなるため、蔵が違っても味わいが似てくる傾向があります。その点、純米吟醸は蔵や酒米の個性が出やすく、個人的にもおすすめです。
にごり酒は炭酸水割りが推奨とのことでしたが、そのままでも十分に美味しい、やさしい甘み。最後の柚子は日本酒仕込みのリキュール、アルコール度数7%と低めながら飲みやすいのでスイスイ進んでしまう危険なお酒でした。

また有料試飲コーナーの「きき酒処」や、1杯200円・3杯500円で飲み比べを楽しめます。ワイン酵母仕込みの日本酒や、雄町・山田錦・愛山という異なる酒米を飲み比べ出来るので、お米の個性を実感するのにピッタリです。
🤲歴史と手仕事の凄さを実感!「櫻宴・菊正宗酒造記念館」

次に訪れたのは「櫻正宗記念館 櫻宴」。重厚感のある佇まいから、長い歴史が伝わってきます。
館内は落ち着いた雰囲気で、1階には売店とカフェ、2階にはレストランと、昔の酒造りに使われていた道具の展示があります。
フォトスポットもあり、撮影した写真をそのままお酒のラベルにしてもらえるサービスも。旅の記念にぴったりですね。
売店では「灘の生一本」を試飲。クラシックな辛口で、食事を邪魔しないキレの良さが印象的でした。

続いて訪れた「菊正宗酒造記念館」でも、2種類の無料試飲を楽しめます。
非売品の生原酒はアルコール度数19〜20%とかなりパワフルですが、お米の甘みと旨みがしっかり感じられる一本。
レモン冷酒はアルコール度数10%で、シークワサーとカボス仕立て。ジュースのように軽やかで、思わず飲みすぎてしまいそうです。
館内では、江戸時代の酒造りを再現した展示や、当時の道具を見ることができます。
また、毎日決まった時間に無料の「樽酒マイスターファクトリー見学会」も開催されており、予約しておくのがおすすめです(館内は撮影禁止)。

ファクトリーの中に入ると樽の杉の香りでいっぱい。こちらでは現在は少ない樽酒を製造・販売しています。
樽には樹齢100年以上の奈良県吉野の杉を使用しており、樽の製造工程を映像で観ることができます。
なぜ吉野杉かと言うと、節のなさが秘訣。木の香りは1本1本異なるようで、酒造りに合った杉を選定しているそうです。
日本酒が広がった江戸時代には、お酒は樽に入れられ兵庫県の灘から江戸に運ばれており、道中で自然と樽のニュアンスがお酒に移ったのだとか。ワインの樽熟成とも近しいところがありますね。
樽の外周に巻く竹をまっすぐに加工し、木の樽部分と接合する際は金属や接着剤は一切使用しないという、昔ながらの酒樽作りが現在でも続けられているそう。

よく考えると木の板の集合体から中身のお酒が漏れないよう、隙間なく周囲に竹を巻きつけていくのはかなりの経験と職人技が必要です。
カンナを使い表面を整えていく工程も、昔ながらの製法で本当に手間がかかっています。お酒を作る道具を作るためにも、非常に手間がかかり技術が必要であることを改めて実感しました。
やはりお酒は一期一会、1杯1杯に道具も含めた造り手の想いがこもっていると感じながら大切に飲まないといけませんね。
完成した樽の中にお酒を入れると2週間ほどで樽の香りがつくのだとか。そして手間をかけて作られた樽の使用はなんと1回のみ!使用済みの樽は、お漬物屋で漬物用に使用される他、インテリアとして海外でも人気が高まっているそうです。1回ですぐ廃棄なんてもったいなさすぎますよね。
最後に雑学も教えていただきました。
「樽廻船(たるかいせん)」とは、江戸時代に上方(京や灘)から江戸(東京)へ酒樽を輸送した専用の帆船です。
江戸っ子は初物が好きなので新酒を届けるレースもあり、1番になると栄誉を与えられたのだとか。通常船で輸送するには江戸まで10日間ほどかかるところ、なんと58時間で到着した舟もあったそうです。
また、上方である灘から江戸に下らないお酒もあり、それが「くだらない」という言葉の語源にもなっているのは面白いですね。

見学の最後には樽酒の無料試飲もいただけました。
冷やでも杉の香りがしっかり。味わいは辛味が強く、日本酒ビギナーの方には少々キツめかもしれませんが、玄人にはピッタリのしっかりとした味わいとキレが印象的でした。
無料で酒造りを学べてお酒までいただけ、最高の大人の社会科見学を堪能しました。
🆓自由すぎる酒屋で昼からゆっくり呑み!「地酒とワインの濱田屋」

酒蔵巡りを満喫したら、休憩がてら訪れたいのが「地酒とワインの濱田屋」です。魚崎駅から徒歩5分ほど、ご紹介した酒蔵からも5分程度で行けるのでついでに立ち寄るのにぴったりな場所にあります。
こちらのお店、日本酒・ワインを豊富に取り扱っている酒店なのですが、なんと店内に飲食スペースがあるのです!飲食スペースではお店で購入したお酒を空けて飲んでもOKな上、グラス1杯から注文できるお酒も種類豊富に取り揃えられています。
お酒のラインナップは地元の福寿、櫻正宗の灘の生一本だけでなく、福井県の黒龍や九頭龍、高知の桂月など多様です。どれも1杯350〜450円程度で飲めるので、かなりリーズナブルにお酒を楽しむことができます。

おつまみも充実しており、冷蔵庫にポテトサラダや砂肝、カボチャの煮物やトマトペンネなどお酒が進みそうなものが、1皿300〜400円で販売されています。おでんもあり1つ100円と格安。パンも販売しており酒粕パンなる美味しそうなものがあったので、お酒のアテに購入してみました。こちらも一切れ80円という超良心的価格!
飲食コーナーに電子レンジも完備されており、セルフでレンチンしていただけるというありがたいシステムです。

店内の飲食コーナーもなかなかステキで、ワインのコルクが壁一面に貼られており、漫画本も多数。私が大好きな「酒のほそ道」も置かれており、お昼から酒漫画を読みながら日本酒をゆっくり満喫でき、うっかりすると無限に居続けてしまう夢のような空間です。
酒場漫画を読みながら、誰にも邪魔されず1人ゆっくりとお酒を飲むひとときは最高です…
さながら酒呑みのための漫喫というかサードプレイスというか…これだけコスパ良く昼からゆっくりお酒が飲めるなんて、近所に住んでいる方が羨ましくなります。

色々飲みたいと思いながらも、せっかくなら地元の酒を楽しもうと、先ほど訪れた浜福鶴の「大吟醸 備前雄町」を購入し飲食スペースでいただくことにしました。
浜福鶴の「大吟醸 備前雄町」は酒米の元祖「雄町」を55%使用した大吟醸ながら、お値段はなんと1本1,233円(税込)という価格崩壊なお酒です!
ワイングラスでおいしい日本酒アワード2025の金賞にも選ばれているお酒なので、お店の方にお願いしてワイングラスを出していただきました。
味わいは雄町らしいお米の甘みと旨み、フルーティーさがありながらも後味はスッキリという、まさにお値段以上の味わいです。
甘めの雄町は、味がしっかりしたサキイカやホタルイカの丸干しのような珍味と相性抜群!そして実は甘いものとも相性が良いです。お食事後のデザートタイムにチョコレートやアンコ、パンなど甘いものと雄町のお酒を合わせて飲んでみてください。
雄町の甘みと旨みがスイーツの甘みを受け止めてくれ、非常に良い相性になります!

いかがでしたか?今回ご紹介した酒蔵と酒屋はすべて徒歩10分圏内にあるので、お散歩気分で気軽に巡ることが出来ます。どの蔵も17時には見学を終了してしまうので、お昼ごろから夕方までの間に巡るのがオススメです。
2〜3時間もあればゆっくり呑んで見て周ることが出来るので、旅行で関西を訪れた方にも、関西在住の方の週末プチ旅行に魚崎を訪れてみてはいかがでしょう?
ここまでお付き合いありがとうございます。少しでも参考になれば嬉しいです。
