一年の始まりの新年会。皆さんはどんな一本を選びますか?
私は島根の銘酒「月山(がっさん)」の限定モデル、「裏月山(うらがっさん)」をいただきました。合わせるメインディッシュは、新年会にふさわしいすき焼きです。
「甘口のお酒に、甘辛いタレのすき焼き…重くならないかな?」という私の不安は、最初の一口で見事に裏切られます。
今回は、日本酒初心者の方にも、辛口の日本酒が好みの方にも試していただきたい「裏月山」の魅力と、ペアリング体験をお伝えします。
目次
1. 島根の銘酒「裏月山」とは?
日本酒ファンなら一度はその名を聞いたことがあるであろう、島根県安来市・吉田酒造の「月山」。その中でも、限られた季節に、限られた酒販店のみに並ぶ特別なラベルが存在します。それが「裏月山-縁-しぼりたて無濾過生原酒」です。
通常の月山と何が違う?
通常の月山には「洗練された貴婦人」のようなバランスの良さがあります。
対して「裏月山」はしぼりたての躍動感をそのまま詰め込んだ「フレッシュな若者」のような爽やかさがありました。
最大の特徴は、「無濾過生原酒」であること。お酒を搾ったあとに火入れ(加熱処理)や加水、濾過を行わないため、お米本来のうまみとフレッシュなガス感がそのまま残っています。
この「生」の風味が、一年の始まりにぴったりでした。
2. メインディッシュ「すき焼き」と合わせてみた
新年会の夜、友人たちと囲む鍋から立ち上がる割り下の甘い香り。そこに合わせるのは、冷やしておいた「裏月山」です。
驚くほどサラリ。スッキリした甘口が肉のうまみを加速させる
一口飲んで驚いたのは、透明感です。
ラベルには甘口のニュアンスが示唆されていますが、ベタつくような重さはありません。むしろ、お米の甘みが優しく広がった直後、スッとしたきれいな酸が追いかけてきます。
この「スッキリした甘口」が、すき焼きと驚くほどの相性を見せました。
•肉の脂をリセットする:牛肉の濃厚な脂を、裏月山のフレッシュな酸がさらりと流してくれます。
•割り下との調和:しょうゆと砂糖の「和の味付け」に対して、無濾過生原酒の持つさらっとした甘み。お互いの甘みが重なり、味わいに奥行きが生まれるのを感じます。
3. 飲んで感じた「裏月山」3つの特徴とおすすめの飲み方
実際に飲んで感じた、裏月山ならではの魅力をみてみましょう。
① 香り:華やかでありながら、食事を邪魔しない気品
グラスに注いだ瞬間、メロンのみずみずしさを思わせるフルーティーな香りがすっと立ち上がります。食事の香りを遮ることなく、そっと寄り添うような上品さがあります。
② 飲み口:サラッとしていて引っ掛かりがない
「原酒」と聞くと、アルコール度数が高くガツンとくる印象を持つかもしれません。しかし裏月山は、スルスルと杯が進む「危険な飲みやすさ」を持っています。柔らかくシルキーな口当たりが特徴的です。
③ 後味:雑味がなく、最後はスッと引いていく美しい余韻
飲み込んだあと、喉の奥にアルコール感が残りません。この「キレの良さ」が、吉田酒造が誇る「超軟水仕込み」の技術のたまものなのでしょう。
| 項目 | 評価・特徴 | 飲用シーンのアドバイス |
| 甘辛度 | スッキリした甘口 | ベタつきがなく、後味のキレが良い |
| 香り | フルーティー(メロン系) | 華やかだが食事を邪魔しない気品がある |
| ボディ | 中(うまみしっかり) | 無濾過生原酒らしいお米のうまみ |
| おすすめ温度 | 5〜10℃(しっかりと冷やして) | 冷やすことで酸が立ち、よりサラリと飲める |
| ペアリング | すき焼きなどの濃い甘口料理 | 割り下の甘みと「同調」し、脂をリセットする |
4. なぜ「すき焼き」にこれほど合うのか?(ペアリングの秘密)
日本酒と料理の相性には似たものを合わせる「同調」と、足りない味を補い合う「補完」という考え方があります。
裏月山とすき焼きの組み合わせは、まさにこの両方を兼ね備えています。割り下の甘みにお酒の甘みが「同調」し、お肉の濃厚な脂をお酒のフレッシュな酸が「補完」する。
特に、すき焼きに欠かせない「春菊」のほろ苦さや、「焼き豆腐」の香ばしさともけんかせず、一口ごとに口の中が新しくなるような感覚はこのお酒ならではの体験でした。
5. 購入時の注意点と楽しみ方のコツ
「裏月山」はその名の通り、通常のラインアップとは異なる限定品です。もし見かけたら、迷わず手に取ることをおすすめします。
•早めに飲むのが吉:「生酒」なので、鮮度が命です。購入後は必ず冷蔵庫に立てて保管し、開栓後はフレッシュな風味が逃げないうちに楽しみましょう。
•グラス選びで変わる表情:華やかな香りを楽しみたいならワイングラスで、食事と一緒にスッキリ楽しみたいなら、薄い口当たりのちょこで飲むのがおすすめです。
6. まとめ|特別な日を彩る、裏切らない一本
「一年の始まりに、美味しいすき焼きと、最高の日本酒を。」
そんなシンプルな願いを、裏月山はかなえてくれました。スッキリした甘口でありながら、サラリと飲める。相反する要素を両立させている裏月山は、まさに吉田酒造の情熱と技術が詰まった「裏メニュー」と言えるでしょう。
一年の始まりに、あるいは新しい門出を祝う席に。 あなたの食卓を彩るパートナーとして、ぜひ「裏月山」を探してみてください。透明感あふれる味わいに、きっとあなたもとりこになるはずです。
