バーボンウイスキーといえば、オイリーで柔らかな舌触りと、力強いオークの風味が特徴です。
今では度数は瓶詰めの際40%以上であれば基本的に自由ですが、1897年に制定されたボトルド・イン・ボンド法によって度数は100プルーフ以上、すなわち50%以上でなければならないという決まりがありました。ボトルド・イン・ボンド法は度数に関すること以外にも製造場所、熟成期間など様々な内容でしたが度数に関することが一番有名ではないでしょうか。
今でもその名残か、商品名にボンデッド(ボトルド・イン・ボンド法の事)と名のつくものがあり、それらは同じブランドの他の商品に比べて高めの度数である50%のものが多いです。
つまり何が言いたいかというと、50%という度数こそが力強いバーボンウイスキーたらしめる要素の一つであると言っても過言ではないという事です。
今回はバーボンウイスキーではメジャーなブランド、ジム・ビーム系統のウイスキーからノブ・クリークを紹介いたしましょう。
目次
禁酒法、原点回帰の力強いバーボン
アメリカには禁酒法というアルコール類の消費はもちろん製造も原則禁止するという法律が1920年から1933年の間ありました。目的はアルコールが心身に及ぼす影響の懸念や、アルコールによる酔いを原因としたトラブルの撲滅などでしたが、結果としては全くの逆効果でした。
禁止されても、需要は大きく、密造と密売が横行し、ギャングが巨利を得ました。カナディアンウイスキーの密輸で有名なアル・カポネ、そのもっと前の時代には華麗なるギャツビーのモデルとなった人物ジョージ・リーマスが密売で富を得ていました。
密輸密売をする人々、通称ブートレガー達は、警察の追跡を逃れるため速度の出る車を求めました、その為自動車産業にも影響を与え、アメリカ車の代表であるフォードもこの禁酒法時代に高速で走れる車を作るため躍起になったと言います。
さて、先ほど密売人たちをブートレガーと呼ぶと紹介しましたが、その名の由来となったのはブーツの中に酒瓶を隠して運んだとされている為です。
そして今回紹介するノブ・クリークはブーツの中に隠しやすいとされていた四角い瓶の形をしています。
ノブ・クリークは禁酒法時代のバーボンではありませんが、ボトルド・イン・ボンド法に則りアルコール度数50%で作られている為、当時を想起させ、初めはヨーロッパの植民地だった国が独立のために戦い、世界の警察とまで呼ばれるようになったアメリカという国の力強さと歴史を感じることができる商品であることは間違い無いですね。
ノブ・クリーク9年の味わい、おすすめの飲み方
さて実際に飲んでみましょう。
マッシュビルはトウモロコシ75%ライ麦13%モルト12%です。
色はバーボンらしい赤みがかった琥珀色。宝石のルビーに例えられるのも納得の色合いです。
香りは甘く香ばしいです。アルコール度数50%故の刺激はありますが、焦らずゆっくりと香りを楽しみましょう。ザクロのような濃い甘酸っぱさ、バニラのスパイシーな香り、キャラメルやバタースコッチのようなコクのある甘く濃厚で芳醇な香りが素晴らしいですね。
口に含むと、やはりハイプルーフの力強さを感じます。素晴らしい。
スコッチや日本のウイスキーでは味わえないボディの厚さです。
トウモロコシの甘みと香ばしさがまず広がり、すぐに長期熟成故のビターさが続きます。
焦がしたオークのスモーキーさも感じることができました。
全ての味わいが調和しますが、力強さが最後まで残り、フルーティな酸味の余韻が印象的です。
飲み込んだ後、しばらくすると、馴染みの穀物味のある味わいが口の中に残り、ジム・ビーム系統であることを再認識しますね。
まとめ
度数50%の力強い味わいを存分に楽しむことができるバーボンです。
力強さはありますが、マッシュビルはジム・ビームと同じ比率であるため、味わいは馴染み深くバランスは良いと言えると思います。
しかし複雑味も十分あり、ストレートでゆっくりと楽しむことができるハイグレードなバーボンですね。ロックにしても良いですし、ハイボールにしても割り負けしないため美味しいです。
ゴッドファーザーなどのカクテルにしても美味しそうですね。
アメリカの長い歴史に思いを馳せながら、ぜひ楽しんでみてください。