こんにちは。先日10月16日(木)に大阪で開催されたワイン・日本酒企業 全68社が集結する西日本最大級の試飲商談会「WINE&SAKE KANSAI 2025」に行ってきました。
最新の業界トレンドなど色々教えていただけたので、2回に分けて様子をレポートしていきます。2回目は「SAKE会場」「海外の個性派ワイン」にフォーカスし紹介します。ワインとは別会場にてSAKE会場もあり、14の蔵元が日本酒中心にブースを構えていました。
中でも個性的で面白い味わいの日本酒を紹介していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
天山酒造:3年熟成スパークリング日本酒!?

最初は佐賀県にある天山酒造で「七田」が代表銘柄です。
「天山 スパークリングGrande Cuvée」という、なんと3年も長期熟成をしているお酒をいただきました。日本酒本来のアミノ酸・旨みがしっかりしており、驚くほどのオリ感や深みがあります。熟成して3ヶ月くらいから酵母の旨みがお酒に溶け出してくるそうで、今回試飲させていただいたのはなんと平成29年から瓶内二次発酵しているという衝撃のお酒です。
「七田 純米吟醸 雄町50」は雄町(酒米の名前)らしいパイナップルのような甘みのある香り、味わいもスッキリとしながら甘みがあるが余韻がスッキリしています。余韻がスッキリしている理由は、硬水を使用しているからとのこと。
「七田 七割五分磨き 春陽」は春陽という食用米を使用したお酒。この酒米のお酒は初めて飲みましたが香りがワインかと思うほどフルーティーで驚きです。味わいも酸味が結構効いており、甘めの白ワインのようです。食用米にしておくにはもったいない程、個性的かつ良い味のお酒でした。
伊藤酒造:個性爆発!スイーツに合う日本酒!?

続いて個性的な味わいのお酒が多数、三重県にある伊藤酒造は「鈿女(うずめ)」が代表銘柄です。鈿女とは日本の神話に登場する女神、天宇受売命(あめのうずめのみこと)のことで、パッケージにも印刷されています。
「UZUME SPARKLING AWA」は和のシャンパーニュという異名があり、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵という製法で作られたスパークリング日本酒です。非常に泡がきめ細やかで、紹興酒のような少し熟成感のある香りと旨みがしっかりとしています。これは素晴らしい!
Relaxationという「スイーツに合う日本酒」をコンセプトにしたシリーズがあり、個性的で大好きなお酒です。
レベルが設定されており、今回はレベル2と3をいただけました。
「UZUME Relaxation Level2」は酸味・甘み・旨みという異なる味わいがブワッと口に広がる不思議なお酒。ワインに例えると甘めのリースリングのような味わいです。
改めて原料はお米だけなのに、このような味わいに仕上がる事に驚きです。
「UZUME Relaxation Level3」は更に個性的で、香りは紹興酒のような酸と熟成感があります。味わいはハンガリーの貴腐ワイン「トカイ」のよう!酸味と甘み、旨みが更にしっかりしており驚きました!この蔵の個性には本当に驚かされるばかりです!
「鈿女 豊穣の舞 特別純米 山廃仕込み」を常温と60℃くらいに熱燗したものを飲み比べさせてもらいました。
こちらは旨みがしっかり!常温でも旨みを強く感じたのですが、燗にすると味わいが大きく変わり、甘みと更に旨みが引き立った最高なお酒になりました。こちらの鈿女(うずめ)も超個性的で美味しいので、ぜひ試してみてください!
uzume-sake.com
浦霞醸造元:営業さんの想いがこもった「きょうかい12号酵母」の酒

続いては宮城県の浦霞醸造元で「浦霞」が有名な酒蔵です。
浦霞はお酒売り場でもたまに見かけるので、ご存知の方も多いと思います。私も夏酒など季節のお酒を何種類か飲んだことがあるのですが、今回は「きょうかい12号酵母」を使用した「浦霞No.12」シリーズを中心に出展されていました。
「きょうかい12号酵母」は元々、浦霞の吟醸醪(もろみ)から分離され、後に日本醸造協会に登録された酵母です。(酵母とは、糖を分解してアルコールと二酸化炭素を生成する「発酵」の働きを持ちます。)
一度は使われなくなった酵母ですが、イチゴのような酸味が特徴の味わいに仕上がる傾向があり、最近は白ワインのような酸味がしっかりしたお酒が注目されているので使用を再開したそうです。
「純米大吟醸 浦霞No.12」をいただいてみると、確かに酸味がしっかりとした香りとフルーティー、甘み味わいで個性がありながらも飲みやすいお酒でした。
ブースにおられた営業の方が若く、「どうしたら若い方に日本酒の魅力を知ってもらえるか?飲んでもらえるか?」を熱く語っておられたのが印象的でした。何気なく酔うためでなくステータスにもなれば…と色々試行錯誤している様子です。
この「浦霞No.12」シリーズもラベルに「12」という数字を象徴的に使用し、視覚的な要素も含め入り口のハードルを下げる工夫を模索されているそうです。日本酒好きとして共感できますし、応援していきたいです!
https://www.urakasumi.com/specials/no12/
アリゴテにガメイも…やはりブルゴーニュワインは格別!

SAKE会場を回り終え、再びWINE会場に戻ってきました。前半は日本ワインを中心にチェックしたので後半はインポーターブースの中から個性的なワインを探していきます。
とは言え、まずはオーソドックスなワインであるブルゴーニュをいただきます。ブルゴーニュのワインは元々高価ですが、近年更に価格が上昇しているので普段はなかなか飲めないワインです。
「ブルゴーニュ アリゴテ」はミネラルがしっかりとしており、シャブリのようなスッキリ感と青リンゴのようなフルーツ感が印象的でした。
ブルゴーニュの白ワインは基本的にシャルドネが使用されるのですがいくつか例外があり、アリゴテもその1つです。
「サントネ<アン フーロ>」は塩味がしっかりしていながらも、トーストのような樽感も感じられ余韻が長いワインです。
「ムーラン ナ ヴァン<ヴァン ド ガルデ>」は、なんと樹齢約60年のガメイで作られる赤ワイン。ガメイは「ボージョレ・ヌーボー」に使用されることで有名な品種で、チャーミングなライトボディなワインに仕上がる傾向があります。しかしこのワインは1年間樽熟成もされておりタンニンがしっかり!味わいも豊かで驚きました。下手なブルゴーニュのピノ・ノワールのワインより満足感が高そうな一杯でした。
どこにある国?スロバキアのワインも高ポテンシャル!

またもや普段はなかなかお目にかかれないスロバキア産のワインも試飲をいただきました。スロバキアといえば世界三大貴腐ワインと言われる「トカイワイン」が有名です。(トカイ地方はハンガリーのトカイと同じ土壌で、スロバキアのトカイで造られる貴腐ワインもトカイワインを名乗ることができます。)
そのトカイ地方で作られたリースリング・ピノグリ・ブラウフレインキッシュの3種類が出展されていました。「リースリング」や「ピノグリ」はアロマティックな品種で、通常そこまでしっかり重みのあるワインには仕上がらないのですが、飲むとオイリー感と味わいがしっかり!個性が爆発していたのに驚きました。
「ブラウブレインキッシュ」は不思議とお醤油のような独特の香りながらも、味わいは酸味がスッキリとしています。香りと味わいのギャップに驚かされる個性的なワインに出会えました。
www.pluswine.jp
どんな味?貴腐ワイン・酒精強化ワインにもチャレンジ!

最後にスティルワイン以外も飲んでいきます。
先ほど紹介したスロバキアのお隣、ハンガリーの貴腐ワインをいただきます。「トカイワイン・サモロドニ」は「自然のままに」という意味で、貴腐ブドウとそうでないブドウを選別せず、房ごと収穫して醸造される製法です。
梅酒のような酸味と甘みがあり、旨みもしっかりとした味わいです。
「酒精強化ワイン」もいただきます。酒精強化ワインとは、醸造過程でアルコール(酒精)を添加することでアルコール度数を高めたワインで、ポートワインやマデイラワインが有名です。
フランスでは特に南部・ルーション地方の「ミュスカ」という品種を使用した甘口の酒精強化ワインが代表的です。香りがとても良くマスカットのようなフルーツ感とバニラのような甘い香りが漂います。飲んでみると非常に甘口ですがヨーグルトのような酸味もあり、飲みやすい味わいでした。
同じくルーション地方の「グルナッシュ」は甘めの赤、濃縮感がありチョコレートにも合いそうなまったりとした味わいが印象的でした。
普段飲む機会がないので、非常に勉強になりました。

いかがでしたか?日本酒も日々進化を続けており、個性的なお酒が生まれ続けています。「日本酒は辛口」と決めている方も、たまには個性派のお酒を飲むと新しい魅力に気づくこと間違いなしです。
ワインはフランスやイタリア、チリ産が多いですが、異なる地域や品種にチャレンジすると、こちらも新たな発見や驚きがあります。
引き続きお酒イベント・オススメのお酒情報を発信していきますので、お楽しみに!
