フランスの各地で飲んだくれていると、時々ものすごく美味しいワインに出会います。
雷が落ちるくらい美味しかった印象的なワインをご紹介します。
5位 ジュヴレ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ・ラヴォー・サンジャック / ドメーヌ・アルマン・ルソー
かのナポレオンが愛したジュヴレ・シャンベルタン。
ジュヴレ・シャンベルタンの名前だけで売れるようになってしまい、品質の低い混ぜられたジュブレ・シャンベルタンが溢れ、評価が暴落した時代がありました。
そんな時に生産者元詰めをいち早く行い、高品質のジュヴレ・シャンベルタンを造りだしたのが、アルマン・ルソーです。
今や大人気で、ワインは中々の値段が付けられています。
この、ラヴォー・サンジャックは、アルマン・ルソーのワインの中でも女性的でしなやかなタイプです。
サクランボ、フランボワーズ、リコリスやスミレの甘やかな香りだけでも幸せになれるワインです。
チャーミングな果実味に、ミネラルと酸のバランスがとてもよく、シルキーな質感で余韻まで伸びがあります。
ラヴォー・サンジャックは谷が風の通り道になっている為、気温が上がりにくく繊細なピノ・ノワールが生産されるため、近年の温暖化により、エレガントさに欠けてきピノ・ノワールも、この場所ではエレガントさを保てるように思います。
4位 リュー・ディ・メニル・シュール・オジェ・レ・キャレル / ドメーヌ・ジャック・セロス
日本でも大人気のドメーヌ・ジャック・セロスは1950年に設立。当主のアンセルム・セロスは日本の福岡正信さんの自然農法に感銘を受けて、ブルゴーニュワインのように、テロワールを反映したシャンパンを造っています。
彼本人が言うには、ジャック・セロスのシャンパーニュのみりんや味噌と共通する発酵の香りが、和食にも合うし、日本人に受けているのではないかとのことでした。
このリュー・ディ・シリーズのレ・キャレルは美味しすぎて、試飲なのに3杯近くおかわりして飲んでしまいました。ソレラ方式で仕込まれるシャルドネ100%で、モカやマロン、ノワゼットの濃厚な熟成香。本当にみりんのような懐かしい香りがします。豊潤で、ミネラルも豊かで、酸も力強い骨太なスタイル。
思い出すと、またおかわりしたくなります。
3位 ヴァン・ド・サヴォワ・レ・ザルプ / ドメーヌ・ベリュアール
1947年、ジュネーブとシャモニー・モンブランの間にあるアルブ渓谷の中心にあるエーズに設立のドメーヌ・ベリュアールはアルプスの最も古いドメーヌの一つです。
素晴らしい自然派ワインです。珍しいブドウ品種グランジェを使ったワインが絶品です。
現存するのはこのアルブ渓谷に22haのみで、そのうちの12haはドメーヌ・ベリュアールが所有しています。
ローマ人がフランスにブドウを持ち込むより前から、この地で栽培されていた伝統品種です。
サヴァニャン・ブランの別名にグランジェとありますが、DNA鑑定の結果全くの別物だったと証明されました。
日本では見かけたことがなかったのですが、調べてみると輸入してるところもあるようです。知りませんでした。
熟したクレモンティーヌや、マルメロの甘やかな香りに、白い花、リッチな果実味に、コクが豊かで、ジューシーな酸が余韻まで長く続きます。
クラスマンでもサヴォワの超新星として紹介されていたり、ゴーミヨでも、最も心に残るワインとして紹介されています。
私も今まで知らなかったグランジェという品種や、サヴォワでこんなに味わいのしっかりしたワインがあるのかと衝撃を受けたワインです。
2位 レール・キュヴェCCXIV / マルク・オーギュスタン
シャンパーニュの自然派を超えたクールヴィキュルチュール=心を込めて葡萄栽培する人。
マルクが実行しているクールヴィキュルチュールとは、繊細な感性の持ち主であるマルクが心を込めて、そして感じるままに、シャンパーニュ造りを行うことです。
彼のドメーヌに訪問すると、他のドメーヌとは明らかに異なるものが多々あります。
そして目を輝かせながらひとつひとつ説明してくれます。こんなにも楽しそうに説明してくれる当主は、珍しいです。
例えば、マルク・オーギュスタンではブドウの収穫は女性が行なっていて、新しい生命を育む力がブドウにも作用すると考えているからだそうです。
黄金比で作られた素焼きの壺や、ワインへの影響が少ないホーロータンク、タンクの内外には、水晶や巨大なアメジストがあり、水やワインや空気を浄化し、力を与えるパワーがあるとのことでした。
太陽の光からパワーを蓄えるようにタンクの真上がガラスになっていたり、古代ギリシャの4大元素にちなんだ部屋の天井には、星が輝いていました。
4つのエレメントは、空・地・火・水を表し、各キュヴェの名前にもなっています。
リザーヴワインを使用しないヴィンテージのシャンパーニュなのに、どれも驚くほど味わい深いのです。
ピノ・ノワールとシャルドネのブレンドで造られるこのキュヴェは、空のイメージのように軽やかで、最も繊細な香りと、旨味がジューシーでコントラストの面白い味わいです。
リフレクソロジー、ホメオパシー、科学、代替療法など様々な要素が融合し、マルクのクールヴィキュルチュールを表しています。
1位 アビス・ミレジム / ルクレール・ブリアン
2012年よりシャンパーニュの奇才エルヴェ・ジュスタンが醸造長を務めるルクレール・ブリアン。
彼の造るシャンパーニュは宇宙のエネルギーを感じるとよく表現されますが、もちろん、感じなくても純粋にものすごく美味しい。
このアビスはエルヴェが産まれたブルターニュの海底で熟成させたキュヴェです。
海底は1年を通して温度変化が穏やかで、水圧が6気圧かかり、ガス圧とバランスがよくシャンパンにストレスの無い環境なんだそうです。
アビスのブドウのブドウ畑もこだわり、昔海底だった海の記憶をもつ畑のシャルドネを使用しています。
黄色いリンゴのコンポート、アンズ、ブリオッシュ、ノワゼット、塩味を伴ったミネラルの香りや味わいが力強く、酸のレベルも高くキリッと印象的で、豊かなエネルギーが流れ込んできます。
まだまだ知らないドメーヌが沢山あり、美味しいワインを造っているのかと思うとワクワクします。
ワインは心を豊かにしてくれる飲み物です。
皆さんも楽しいワインライフをお過ごしください。