日本では幾度かの“ワインブーム”と呼ばれるものを経て、アルコール飲料の選択肢のひとつとして、すでに定着した感のあるワイン。しかしまだ敷居が高いと感じている方もいらっしゃる様です。
目次
ワインは難しい?
普段勤務しているワインバーにて、お客様からよく聞くフレーズがあります。
「ワインあまり詳しくなくて…」
おそらくワインをよく知っているであろうソムリエを前にして出てしまう、ポーズの様な言葉だと思うのですが、私はいつもこう答えます。
「詳しくなる必要はないですよ。所詮飲み物ですから。みんな詳しくなっちゃったら、私ら仕事無くなっちゃいます(笑)」
こんな感じで構えを解いてから、簡単な味の好みだけ聞き出してお勧めするようにしています。
そう、所詮飲み物のひとつです。詳しくなる必要も勉強する必要もありません。
確かにワインの世界は扉を開ければ、旺盛な知識欲を満たしてくれる要素がたくさんあり、知れば知るほど次の部屋を覗いてみたくなるわけですが、扉を開けたすべての人がそうなる必要はなく、最初に入った部屋だけで充分だともいえます。そもそも扉自体そんなに重いものではありません。
なぜ難しく感じるか
これは様々な要因が考えられると思いますが、ひとつには黎明期のワインブームにおいて、知識の部分ばかりがフォーカスされ、それが多数のワインスノッブを生み出し一人歩きを始めた様な気がします。奥の方の部屋ばかりが紹介され、そこまで入らないとワインは面白くないみたいな捉えられ方ですかね。
人によってはそれが知識欲を掻き立てられる要因にもなったかと思いますが、例えば普段ワインを飲むときにいちいちグラスをクルクル回さなきゃならないのかというと、そんなことは無いですよね。これはまた別の部屋に入った時の話。お茶を飲むときにだって皆いちいち湯飲みを回したりしません。それは普通のお茶と違うでしょと突っ込まれそうですが、お茶はお茶です。お茶の世界にも色々な部屋があり、どの部屋に入るかは自由なわけです。
とはいえ、その扉自体がどこにあるのか、どう開けるのかわからないという方がいるのも事実。ここからはその扉が簡単に見つけられ、さらに開けやすくするいくつかのアイデアを紹介します。
選び方
・最近ではどこのスーパーでもある程度の品数のワインを置いています。わざわざ専門店に行く必要はないです。日々のお買い物と一緒にすませましょう。
・タイプを選びましょう。赤・白・ロゼ・スパークリングですね。最近はオレンジなんて言うのもありますが、基本的には先に述べた4種です。
・予算を決めましょう。なにも高いものを買う必要はありません。フルボトル1本400円位のものもあるでしょう。それでもOKです。1000円以下や3000円前後など財布と話し合ってください。
・最後は自分が気に入ったラベルで選びましょう。ジャケ買いですね。もちろんラベルからはいろんな情報が読み取れるのですが、とりあえず気にすることは無いです。
こうして選んだ1本を楽しんでみてください。そしてもしそれが気に入ったら、ラベルを写メしておきましょう。便利な時代です。昔はわざわざラベルを剥がしたりしていました(笑)。
もしあまり気に入らなかったとしても、これは少しのお願いなのですが、違う1本を試してみてください。違うラベルでもタイプでも。赤はダメだけど白は好きなんて方もいらっしゃいます。かく言う筆者も最初の1本はイメージしたような味ではなかったですが、次またその次と試すうちに、その味の違いに面白みを感じるようになりました。そうした懐の深さがワインにはあります。せっかく扉を開けたのに、玄関だけで帰らせるのは忍びない。
楽しみ方
ことワインに関しては様々なルールやこうしなければならないという風潮の様なものがあります。正直あまり気にしなくて良いです。
・箱入りの大容量ワインや缶、ペットボトルなど容器も様々。ワインはガラス瓶じゃなきゃということはありません。スクリューキャップ、良いじゃないですか。開けやすい。
・夏は氷を入れてカチ割りワイン、冬は少し甘みをつけてホットワイン。いろんなジュースで割ってみても面白いです。ワインというと納得できない方も、カクテルというと納得するかも?そんなもんです。
・余ったら料理にも使ってみましょう。
・脚付きのグラス?いえいえ、コップでもOK。
いかがですか?ワインは元々、生活に密着した気軽な飲み物。堅苦しく考えず、気楽に楽しみましょう!