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各国を代表するぶどう品種
ワイン用のぶどう品種を問われて、どういう名前を思い浮かべますか?シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、リースリング等々。現在世界的に有名なこれらの品種は、もともとワイン造りとぶどう栽培の歴史が古く、かつそれらを発展させてきたフランスとその周辺国原産のぶどう品種。最近ではヨーロッパで古くからワイン造りを行う、様々な生産国のワインが紹介されるようになり、各国固有の品種名もかなり聞かれるようになりました。
ニューワールドと呼ばれる新興産地でも、先に挙げたいわゆる国際品種でワインを造っていますが、それぞれの国で成功している、その国のアイコンの様な品種があります。
シラーズ/オーストラリア
筆頭は何といってもこの組み合わせでしょう。シラーズ(Shiraz)は南フランス原産で国際的にも人気の高いシラー(Syrah)と同一の赤ワイン品種、要するに別名です。
19世紀にイギリス人がオーストラリアに様々なぶどう品種を持ち込み、栽培を始めた中の一つ。その時代に呼ばれた名前なのでしょう、いまでは世界的にシラー/シラーズと併記されることもあるくらいの知名度になり、他国でもシラーではなく“シラーズ”としてリリースされることもあります。
ソーヴィニヨン・ブラン/ニュージーランド
近年のニュージーランドワイン躍進の原動力となった白ワイン品種、ソーヴィニヨン・ブラン。
ニュージーランドといえば、マールボロ産のソーヴィニヨン・ブランと出てくるくらい、有名な組み合わせ。この国のぶどう栽培面積の約7割を占めています。
固有のぶどう品種をもたないニュージーランドに、このフランス原産の国際品種を持ち込んだのは、やはりイギリス人。気候風土がマッチしたのか、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランが、この品種の特徴を一番あらわしているとまで言われました。
マルベック、トロンテス/アルゼンチン
マルベックはフランス原産の国際的な赤ワイン品種。フランス南西部カオール地区のものが有名で、その濃い色調から「黒ワイン」などとも呼ばれたりしますが、今では世界のマルベック栽培面積の75%以上を、アルゼンチンが占めているそうです。
一方、トロンテスはアルゼンチン原産の固有品種。現在でもほぼアルゼンチンでしか栽培されておらず、フルーティで芳香に富む、アルゼンチンを代表する白ワイン品種です。
ピノタージュ/南アフリカ
南アフリカを代表する品種ピノタージュは、フランス・ブルゴーニュ地方の偉大な品種ピノ・ノワールに、暑さや病害虫にも強い南フランスの品種サンソーをかけ合わせて作られた、同国の交配品種。ピノ・ノワールと、サンソーの別名エルミタージュの名前を半分ずつとって名づけられた、高品質赤ワイン用の品種。同国以外での栽培例も見受けられます。
カルメネール/チリ
いまではチリを代表する赤ワイン品種のひとつに数えられるカルメネール。しかしほんの数年前までは名前も知られておらず、あろうことか別のぶどうだと思われていました。
フランス・ボルドー原産のこの品種は、ながらく絶滅したと思われていましたが、90年代半ばにチリでメルロとして栽培していた黒ぶどうの半数ほどが、DNA鑑定の結果、実はカルメネールであったことが判明しました。イタリアやニュージーランドなどでもカベルネ・フランに間違えられていた例があり、何とも不幸なぶどうであるとも言えますが、今では単一品種でのワインも作られ、原産地ボルドーでも新たな興味の対象となっていて、まさにこの世の春を謳歌しているともいえる品種です。
国を代表する品種から造られるワイン、ぜひお試しください。