「モルドヴァ」は、ヨーロッパのなかではワインの生産地としてはそれほど知名度はない国かもしれません。しかしここで育てられているワインは、意外なほどに歴史が長く、その歴史は紀元前3000年以上前にまでさかのぼることができます。今回はこの「モルドヴァ」で育てられているワインと、モルドヴァワインの歴史そのものについて見ていきましょう。
目次
歴史は古く、エピソードもある「モルドヴァワイン」について
「モルドヴァ」は、正確には「モルドヴァ共和国」といいます。「モルドバ」と略されることもありますが、ここでは「モルドヴァ」と名前で統一してお話していきます。
なお、ロシアには「モルドヴィア共和国」がありますが、この2つはまったく別物です。
モルドヴァは、非常に土地面積の狭い国です。日本も免責の狭い国としてよく例に挙げられていますが、モルドヴァはさらに小さく、日本の10分の1に満たない免責しか有していません。東ヨーロッパにある国で、ルーマニアとウクライナと接しています。
日本ではそれほど知名度の高くない国ではありますが、黒海を臨むこの東欧の小国は、非常に優れたワインを育てている国だといえます。モルドヴァで作られるワインは、高品質なものが非常に多く、ヨーロッパの大国の王室にも深く愛されました。そのため、「王室御用達」の称号を冠する作り手も出てきており、各方面から注目を浴びています。
モルドヴァのワイン造りの歴史は非常に古く、紀元前3000年ほど前にまでさかのぼることができると言われています。ブドウの栽培自体は紀元前5000年ほど前から行われていたと言われていますが、モルドヴァに、ギリシア人（ギリシャ人・ギリシヤ人とも）が入ってきたことで、モルドヴァワインの原型が誕生したと考えられています。
このときに興ったワイン文化は、それ以降も脈々と受け継がれます。数多くの舞台や映画、漫画や小説の舞台となっている「ローマ帝国」の領地となったモルドヴァは、その庇護を受け、ワイン造りをますます盛んに行うようになります。また、15世紀に出てきた「シュテファン3世」は、特にモルドヴァワインを庇護しました。
ただ、モルドヴァもまた、「ほかの国からの支配」によって、ワインづくりが一時的に停滞するという憂き目にあいます。16世紀に侵攻―支配を行ったオスマントルコは、モルドヴァワインの生産を300年間にわたって禁止しました。このため、モルドヴァワインは1800年代になるまで、歴史からその姿を消すことになります。
1800年代に入り、モルドヴァは帝政ロシアの支配下におかれます。帝政ロシアも数多くの作品の舞台となっていますが、この帝国ロシアによる支配は、モルドヴァワインに復興の兆しを示すものでした。地場品種をつくりだせる環境になり、1940年のソ連併合、そして1991年のソ連からの独立を機に、モルドヴァは非常に「現代的な」ワインづくりを行う国へと変化していきます。
一時は300年もの長い間ワイン界の歴史から姿を消していたモルドヴァワインですが、現在は若々しい風を取り入れ、美しく、力強いワインをつくるようになっています。
モルドヴァの「アスコニ エクセブショナル・リースリング」について
ここからは、モルドヴァのワインについて取り上げていきましょう。今回紹介するのは、「アスコニ エクセブショナル・リースリング」です。
「アスコニ エクセブショナル・リースリング」は、モルドヴァの「コドゥル」という地方で育てられています。コドゥルは、モルドヴァのワイン生産地の中央あたりにある地方です。アスコニ エクセブショナル・リースリングは、100パーセント人の手で作られており、自社畑でとれるブドウのみで作られています。
なお、「アスコニ エクセブショナル・リースリング」をつくりだしている「アスコニ」は「モルドヴァワインを経済的に成長させることに力を尽くしたワイナリーである」として受賞しています。
アスコニ エクセブショナル・リースリングは、辛口に仕上げられたリースリングワインです。ステンレスタルで醸造されているワインで、神饌な果実味が特徴です。辛口で酸はありますが、尖りすぎた酸ではなく、あくまで上品で、柔らかさのあるワインに仕上がっています。
かんきつ系の香りを感じさせるワインでもあり、グレープフルーツのような香りが印象的です。ただ、白桃のような熟した香りも感じられます。飲みにくさはあまりないワインだといえるでしょう。チャレンジしやすい1本です。
東欧の小国、モルドヴァ。しかしそこで育てられるワインは、いつでも私たちを感動に導いてくれます。それほど種類は多くはないものの、モルドヴァのワインは比較的日本でも手に入りやすいものです。赤ワインも白ワインも購入することができますから、「いつもとは違う国のワインを試してみたい」ということであれば、ぜひ一度試してみてくださいね。
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http://www.moldovawine.jp/smartphone/page7.html
