こんにちは。先日、梅田の阪急百貨店で開催された「第25回 阪急蔵元祭り」に行ってきました。会期は11月12日(水)〜11月17日(月)で、前半11月12日(水)~14日(金)と後半11月15日(土)~17日(月)で出展する蔵元が変わります。
日本中から全45蔵が集結し、蔵人さんも多く来られるイベント。なんとすべての蔵で無料試飲を提供しておられ、お酒をいただきながらお酒作りの裏話やお酒にかける想いなど、ここでしか聞けない話が盛りだくさんでした!
今回は既に終了してしまいましたが、阪急蔵元まつりは毎年2回ほど開催されていますので、次回のために会場の様子と共に、皆さんに飲んでいただきたいお酒を紹介していきます。ぜひ最後までお付き合いください!
目次
🍶オマチスト必飲!濃厚な味わいがクセになる「庵」

「オマチスト」という言葉を聞いたことはありますか?「オマチスト」とは雄町という酒米を使用した日本酒が好きな人のことで、私もオマチストの1人です。
岡山県「熊屋酒造」の庵は、雄町に特化したブランド。
特別純米酒は雄町の甘み・旨み・クセがストレートに味わえる食中酒向けのお酒です。
無濾過純米吟醸は、1番雄町の個性が感じられます。甘みがしっかり最後に酸があるので飲み疲れしないヨーグルトのような酸味が心地よい、これ単体で味わいたくなるデザート日本酒です。
同じ岡山県の名産品、桃やマスカットなどフルーツと合わせるのもアリな単品が主役になる味わいです。
純米大吟醸は48%精米でクリアな味わい。雄町独特のクセは先程の無濾過純米吟醸の方がしっかりしていましたが、さすが大吟醸らしくスルっと飲めてしまう上品な味です。赤いラベルは唯一、朝日米という食用米で作られるお酒です。朝日米は岡山県で多く作られる品種で、こちらも甘みがしっかりしており、雄町とは別の魅力がありました。ぜひ雄町を飲んでみてください。クセになること間違いなしです。
⛰コスパ抜群!スルッと飲める「阿蘇の酒れいざん」

続いてオススメなのが熊本県「山村酒造」れいざんです。ブースにおられる方のTシャツがステキです!「reizan de kanpai」と記載されており、なんと山村酒造の専務さんでした。お話がお上手でブースにある色々なお酒を試飲させていただきました。
熊本と言えば焼酎のイメージですが、実は北は日本酒文化で、れいざんは江戸中期からある歴史ある酒蔵です。
えいざんの魅力はなんといっても水のようにスッキリとした喉越しです。これまた意外なのが熊本といえば暑い地域のイメージですが、阿蘇は寒い時はマイナス10℃まで気温が下がる場所で、お水も綺麗な土地なのだとか。そのためスッキリした味わいに仕上がり、本当に水を飲んでいるように何の違和感なくスルスル飲めるお味です。
ほぼ熊本県外に出ておらず、このイベントにも初出展の蔵元さんです。
特にオススメが純米酒でお値段1,300円とお手頃な割に、旨み・キレなどバランスが良く、色々な食事に合わせやすそうな一杯でした。
れいざん 純米吟醸は、酸味が豊かでこれも食中酒としてピッタリです。酒米は「はなにしき」という山田錦の子供にあたる品種、九州は台風が多いため背が低い台風で倒れにくい品種として開発されたのだとか。勉強になりました。

🍜喜多方を感じろ!100%喜多方の酒とは

福島県「ほまれ酒造」の会津ほまれでは喜多方の酒米にこだわった「喜多方テロワール」シリーズを展開しています。
「terroir(テロワール)」とは、「土地」を意味するフランス語「terre」から派生した言葉で、ワインの原料である葡萄の品種 だけではなく生育環境にも焦点を当て、土地の個性を生かした味わいを押し出す言葉として使われます。
喜多方テロワールepisodeⅠは山田錦を使った純米大吟醸。酵母も福島で開発された「うつくしま夢酵母」が使用されています。香りも味わいも高いフルーティーさに驚きです。
喜多方テロワールepisodeⅡには「夢の香」という福島で開発した酒米が使用されています。心地よい微発泡の後に旨みと苦味が心地よい味わい。お値段は1,300円とこちらも安い!大吟醸のスッキリした味わいも良いですが、個性を楽しむならepisodeⅡがオススメです。
🌸新感覚!梨日本酒?桜日本酒?

鳥取県「大谷酒造」の鷹勇も本イベント初出展の酒蔵です。
こちらには鳥取県湯梨浜町の東郷地区で栽培された二十世紀梨から採取した「ラカンセア酵母」仕込みの日本酒がありました。お酒に果汁を混ぜたリキュールはよくあるのですが、こちらはあくまでも清酒です。
飲んでみるとフルーティーかつ酸味が心地よいお酒、ラカンセア酵母は発酵中に乳酸を生成するのが特徴なので、爽やかな酸味のある味わいに仕上がるのだとか。
また純米吟醸 桜咲(さくら)はソメイヨシノから抽出された酵母が使用されており、アルコール度数は13.5%と低め、甘みと酸味がしっかりとしており1杯目のスターターとしてピッタリな印象です。
梅酒もいただきましたが、酒米に五百万石を使用しており、酸味がしっかり!甘すぎずバランスの良い味わいでした。
🍷ワインのような日本酒!?越後鶴亀

新潟県「越後鶴亀」はワイン酵母を使用した日本酒で有名です。ワイン酵母仕込みの日本酒を飲んだことが無い方、ぜひ飲んでみてください!目を閉じて口に含むと、白ワインのような米の旨みを感じるような…
従来の日本酒では味わえない、日本酒の新たな境地を感じられます。
中でも初めて見つけたのが「越後鶴亀12stamps」。名前の通り瓶には12個の切手が貼ってあります。それぞれの切手には花や木が描かれており、ソムリエの方がこのお酒を飲んだ時に表現した味わいを示しているのだとか。
通常のワイン酵母を使用したお酒より濃厚な味わい。ネットで調べてもなかなか販売していない非常にレアなお酒です。
ワイン酵母を使用した日本酒は、日本酒を普段あまり飲まない方にも飲みやすいので、ぜひチャレンジしていただきたいです。
特に「あびいち(浴美弌)純米吟醸 無濾過生酒」は柚子やグレープフルーツのよう、アルコール度数は10度と軽めなので飲みやすく、軽やかでフレッシュな飲み心地を楽しめます。
💣個性爆発!こだわり製法で作られる酒「うずめ」

三重県「伊藤酒造」鈿女には個性爆発な日本酒があります。その名も「Party Goddess 鈿女 / UZUME 純米吟醸 Relaxation Level 2」。
なんとデザートと合わせても美味しいという超濃厚な甘み&酸味があります。ワインに例えるならドイツのリーススリングや貴腐ワインのような味わいです。一度飲んでみてください。「本当にお米だけでこんな味になるの?」と驚くこと間違いなしです。
蔵元さんにお話を聞くと「この日本酒はワインの発想で作っている」とのこと。日本の文化として、お酒も美味しいがお料理も美味しいため、主役はお料理であり日本酒は脇役としてお料理を引き立てることを主とした味わいになっている。一方、欧州ではワインを単独で味わうこともある上、「ペアリング」というお料理とワインの両方がお互いを高めるというという発想の違いがあるのだとか。
ワインの発想で作っているのですが、先ほど紹介したワイン酵母は使用していないそう。「ワイン酵母で作ると変なくせが出る」そうで、どうしたらお米がこのような味になるのか余計に謎が深まりましたが、蔵元さんの強いこだわりを感じることができました。
実はこのシリーズにはLevel 2の他にLevel 3・Level 5もあり、数字が大きくなるほどより濃厚な味わいになります。 Level 2でも充分に個性的なので、Level 3・Level 5は本当にとろとろ…見かけたら絶対に飲んでみてください!
💡LEDを使用した日本酒!?名前もそのまま「LED」

徳島県にある松浦酒造場の「鳴門鯛 LED(レッド)」も個性的で美味しいのでオススメです。
「日本酒にLED?」と不思議に思われたかと思いますが、実は今では当たり前になっているLED照明は、徳島県の企業の青色発光ダイオード発明により、急速に世界に普及しました。
徳島県では、青色発光ダイオード技術を様々な分野に応用する研究を進めており、誕生したのが「LED夢酵母」。徳島県内での酒蔵でしか使用していない、希少な酵母です。
LEDの様々な光を既存の酵母に照射し続けた結果、突然変異でできた酵母で、まったく新しいタイプの日本酒に仕上がります。
味わいは酸度が非常に高い上に甘く、ヨーグルトのような酸味の香りとりんごのような甘い香りがします。鳴門鯛 LEDの酸味には乳製品も相性抜群だそうで、洋食であるスモークサーモンのキッシュにもピッタリなのだとか。
となりに置いてあった「純米吟醸 雄町」は少量限定生産のお酒、こちらも雄町らしい熟成された酸味としっかりした味わいが美味でした。
ぜひこの蔵でしか味わえない個性を感じてみてください。
いかがでしたか?まだ紹介したいお酒は沢山あるので、今後も皆さんに飲んでいただきたいオススメの日本酒を紹介していきます。
このイベントは蔵元さんが日本全国から来られ、作り手から直接お酒を注いでいただきながら、お酒へのこだわりや想いを聞ける非常に楽しいものでした。このようなイベントは定期的に開催されているので、ぜひ足を運んで色々なお酒にチャレンジしてみてください。
