「贅沢な寿司の愉しみ。ネタ別ワインペアリング【上編】」はこちら。
目次
甘海老
トロッとした質感に、甘みのある甘海老は、ドイツの残糖感のあるリースリングと良く合います。
シャルツ・ホーフ・ベルガー・カビネット / エゴン・ミュラー
エゴン・ミュラーは、シャルツホーフベルガーの最高峰に君臨する生産者です。
この畑は、ドイツ5大畑の一つ特別単一畑で、畑名のみの表示を認められています。
植わっているリースリングの樹齢は、プレフィロキセラの100年を超えるものもあります。
ザール川流域は気温が低く、スレート質土壌で、溌剌とした酸味、豊かなミネラルを携えた繊細で素晴らしいブドウができます。
カビネットは、遅摘みになる手前のブドウが完熟した状態で収穫されたリースリングを使ったワインです。
洋梨、マンゴー、アカシアの花の蜜、白胡椒、セルフィーユ、カモミール、ライラック、サンダルウッド、紅茶の香り、非常に滑らかな質感に、繊細さを感じさせながらも、凝縮した果実味、溌剌とした酸、豊かな旨味とミネラルが押し寄せます。余韻に柑橘果皮のような心地よい苦味が残ります。
少し甘さを感じる味わいと、甘海老の甘さ、ミネラル、トロっとした質感も同調し、甘海老とワインが一体化したように感じるほど相性がいいです。
玉子
甘くて美味しい玉子には、優しい甘さの甘口白ワインが良く合います。
五一わいん ロイヤル / 林農園
長野を代表するワイナリーの貴腐ワインです。
天候に恵まれた年のセミヨンと、自社栽培のシャルドネの貴腐ブドウから造られる貴腐ワインのブレンドなので、優しい甘さがあります。
貴腐ワインの蜂蜜のような甘い香りを生かす為、樽香は抑えています。
やや甘口の芳醇な白ワインです。
玉子の甘さと同調して、より美味しく感じます。
鯛の昆布締め
淡白な美味しさの鯛に、昆布の旨味が加わった味わいには、シュール・リーを施したミネラルと旨味のある甲州がおすすめです。
番イ / 大和葡萄酒
創業100年以上の日本のワイナリー大和葡萄酒。
薄い、軽い、特徴が無いと言われてきた甲州に、変革を行って、土壌に貝殻を撒いたり、特にミネラル分の豊富な畑から収穫した甲州を用いて、シュール・リーを施し、アミノ酸やペプチドの豊富な旨味の豊かな甲州を生み出しました。滋味深く、複雑味がありミネラル感の豊富な甲州は、同じく旨味の豊富な鯛の昆布締めの旨味を高めます。
そして、甲州の特徴として、鉄の成分が他の品種よりも少なく、生の魚介と合わせても、生臭くなることはありません。
〆鯖
酢締めにされた鯖の、甘酸っぱい風味、独特の旨味は、酸化のキャラクターのあるシャンパーニュ、やや甘口のシャンパーニュ、ヴァン・ジョーヌなどと好相性です。
フュ・ド・シェーヌNV / アンリ・ジロー
アンリ・ジローは、アイ村のテロワールを追求するシャンパン・メゾンで、美食家のシャンパーニュと呼ばれています。
醸造に使うタンクに、アイ村のプレと呼ばれる砂を混ぜて特注したものを使用したり、
アルゴンヌの森の樫の木を使った木樽を使用しています。
このフュ・ド・シェーヌは、フランス語で木樽という意味があります。
アプリコット、オレンジの果皮、アカシアの花の蜜、シナモン、モカ、ローストしたアーモンド、落ち着く木の香り、複雑で芳醇で熟成感のある香りを嗅ぐだけでも、幸せな気持ちになれます。持続的な泡立ちで、コクも豊か、余韻が長い素晴らしいシャンパーニュです。
鯖の旨さの詰まった脂の甘さと、シャンパンの熟度の高い果実味が合い、酸化の風味と酢締めの風味が同調し、余韻にまた美味しさが蘇ります。
アンリ・ジローでは、料理にも使えるラタフィアのスプレーがあり、鯖寿司にかけるとまた更に相性良く楽しめます。
鯵
『鯵は味なり』との言葉通り、脂が乗って旨味の豊富な青魚の鯵に合うのは、シチリアのフラッパートです。
フラッパート / コス
イタリアのシチリア島ヴィットリアにあるコスは、設立者3名の頭文字を取って名付けられました。高品質少量生産のワイナリーで、ビオディナミ、地中に埋められたアンフォラやセメントタンクなどを用いてワイン造りを行なっています。
フラッパートの畑のミネラルの要素がはっきり感じられます。良く冷やして、魚介とともに味わいたいミディアムボディの赤ワインです。
すり潰したワイルドストロベリー、ブラッドオレンジ、アーモンドの香り、なめらかな質感に、ジューシーな果実味、豊かなミネラル感、フレッシュな酸が軽快で、柔らかいタンニンが心地よく続きます。
伝統的に鰯や鯵を良く食べるシチリアの赤ワインで、間違いのない組み合わせです。
中トロ
赤ワインと合わせがちですが、上質な脂のある中トロは、実はオイリーな白ワインと良く合います。
コンドリュー・ラ・ドリアーヌ / ギガル
ローヌワインのて帝王と呼ばれるギガルが、1994年からリリースしたコンドリューは、自社畑の樹齢35年のヴィオニエを使ったコンドリューの最高峰の味わいです。
1haあたりの収穫量も僅か25hlという低収量に抑えられています。
バッドヴィンテージで、予想される飲み頃を遥かに超えても、飲み頃が保たれている長熟のポテンシャルをもつコンドリューです。
白桃や、アプリコット、ジャスミン、紅茶の芳醇な香り、滑らかでトロみのある質感に、凝縮された甘美な果実味、フレッシュな酸がしなやかに余韻へと続きます。
若々しいヴィンテージでも、熟成しても、それぞれの良さがあります。
中トロの旨味のある脂に、ワインのオイリーさ、熟度の高い果実味がマッチし、中トロの甘さをより引き立たせます。
万能選手
キュヴェ・ギョタク / ドメーヌ ・ミット・ナット・フレール
『寿司に本当に合うワインは何か?』を研究し続け生み出されたリースリング、ゲヴェルツトラミネール、ミュスカ、ピノ・グリ、ピノ・ブランをブレンドしたやや辛口の白ワインです。
ほのかに白桃、レモン、ライムが香り、優しい甘味の果実味に、豊かな酸と、ミネラルがあり、ジューシーだけど、スッキリしている不思議な味わいです。
寿司のネタは幅広く合いますが、なんといっても酢飯と甘さと酸のレベルと同じ位なので、驚くほど相性がいいです。
意外と相性の良いお寿司とワインのペアリングをぜひお試しください。
楽しいワインライフをお過ごしください。