ラムといえばキューバを思い浮かべる人も少なくないと思います
葉巻を嗜む方でしたらラムとの相性も抜群であることはご存知でしょう
キューバはラムも葉巻も素晴らしいです
今回はキューバのラムの特徴をお伝えしつつ、比較的長熟ラムであるロン・クバイ10年をご紹介したいと思います
目次
キューバンラムの特徴 -ロン リヘロ-
キューバンラム(キューバで作られるラム)や、キューバにルーツを持つラムは、共通して軽い口当たりが特徴です。ラムの製造が始まった黎明期、当初は荒々しい酒質だったラムは、地域ごとに異なる変化を遂げていきました。
フランス海外県であるマルティニーク島やグアドループでは、本国フランスのブランデー蒸留技術が取り入れられ、ジャマイカやガイアナでは、宗主国であるイギリスのスコッチウイスキーの蒸留技術を用いて改良が進みました。一方、かつてスペインが植民地支配していた地域では、酒精強化ワインの一種であるシェリーの熟成技術が多く用いられています。
このように、それぞれの地域に根ざした技術によって、フランス系ラム、イギリス系ラム、スペイン系ラムと呼ばれるスタイルが確立されました。スペイン系のラムはさらに、中央アメリカから南アメリカで作られる「大陸もの」と、カリブ海諸国で作られる「島もの」に分類されることがあり、キューバンラムは「島もの」のラムに該当します。シェリーの熟成技術を用いているのは主に大陸もので、島もののラムは、先述の通り、軽い口当たりを意識して作られています。
「高級なお酒=酒質が重く濃い味わい」と思われがちですが、キューバンラムには、軽い口当たりと濃厚な味わいが見事に共存しているものが多く存在します。この軽い口当たりのラムは、「ロン リヘロ(*ロン=ラム、リヘロ=軽い)」と呼ばれます。
キューバンラムの製法は、糖蜜を原料とした蒸留で、連続式蒸留機を使って4回蒸留されます。最初に得られるものは「アグアルディエンテ」と呼ばれ、これは「燃える水」という意味で、口にすると灼熱感を感じる液体、つまり蒸留酒のことを指します。アグアルディエンテの一部は樽で熟成され、残りはさらに2回、3回、4回と蒸留が行われます。
最終的に、95.5度から96度までアルコール度数を引き上げたもの、2〜3年熟成させたアグアルディエンテ、そしてミネラル分を除いた水、これら3つをブレンドすることでキューバンラムが完成します。連続式蒸留を4回も行うと、出来上がるアルコールの純度は非常に高くなり、96度のアルコールは中性スピリッツと呼ばれ、加水してボトリングすればアメリカで言うウォッカに相当するものとなります。しかし、キューバンラムは樽熟成したアグアルディエンテをブレンドしているため、軽い口当たりとともに、心地よい熟成感を楽しむことができるのです。
ロン・クバイ10年の特徴、おすすめの飲み方
さて、【ロン・クバイ】ですが、キューバのセントラル蒸留所で作られています
元々はキューバンラムの代表【ハバナクラブ】のみを作っていた蒸留所でした
ロン・クバイが作られ始めたのは1998年と比較的最近ですが、時が経つにつれて、生産当初とは別の味わいとなっているようです
熟成の樽にはカナダ産のホワイトオークが使われています
今回ご紹介する10年はキューバンラムの中では、比較的熟成期間の長いものになると思います
というのも、キューバをはじめとしたカリブ海周辺諸国は、温暖な気候の為、熟成が非常に早く進むのです
馴染みのある日本のウイスキーやスコッチウイスキーなどは、逆に比較的冷涼な気候で熟成がゆっくりと進むため、長期熟成といえば20年以上のものなどが連想されます
温暖な気候でも20年以上の熟成が可能か不可能かでいえば、可能ですが、出来上がるものは恐らく、あまり美味しく感じないと思います
少なくとも作り手にとって良いものというのは出来ないのではないかと思われます
というのも、熟成が進む=樽(木)のフレーバーがアルコールに染み出す、ということですから、熟成が進みすぎると、お酒本来の風味を木の香りやタンニン(渋み)が覆ってしまうのです
ですから、個人的には温暖な気候での熟成期間は10年〜13年くらいが美味しく飲める限度だと考えています
ただし長期熟成した原酒を巧みにブレンドすることで、素晴らしい風味を生み出す蒸留所もたくさんあります
香りはオークやカラメル、バニラ、カスタードが感じられます
組み合わせ的にプリンのようです
ほんのりとパイナップル、メロンの皮も感じられました
口に含んでみると、キューバンラムらしい軽やかな口当たり
オークとキャラメルの甘い味わいを感じます
度数は40%ありますが、水のようにスイスイと飲めてしまいます
10年という熟成期間の割には若干複雑みに欠けるような印象も受けますが、ベタつきの少ない心地よい甘さで、飲み飽きたりすることはなく、飲み終わるともう一杯飲みたくなるラムです
加水すると塩気のある甘みを感じられました
全体的に軽やかな味わいなのでストレートで楽しんでいただきたいですね
ソーダで割るなら濃いめがおすすめ
ラムの中ではクセが少なく、軽やかな飲み心地が特徴のため、初めてラムを試す方にはキューバンラムはとてもおすすめです
自由な飲み方で楽しんでみてください