今年も開催された世界有数のナチュール(自然派)ワインフェア「RAW WINE」。それに先立ち、4月21日にプレイベントが開催されました。今回は同時開催された試飲パートを紹介します。
目次
6つの造り手
今回のプレイベントでは、当日出展する75以上の生産者の中から、6つの生産者や輸入元がそれぞれのワインや日本酒を持ち寄りました。それぞれのブースを紹介します。この日はRAW WINEまで期間があるため、国外のワインは輸入元の方が対応されていました。
no.505

広島県三原市に2024年にオープンしたワイナリーです。果樹栽培に適した瀬戸内の温暖な気候を生かし、有機農法や自然農法で栽培された食用ぶどうを原料とし、酸化防止剤の使用をできるだけ避け、天然酵母で発酵させている「生きるワイン」を造っています。
この日提供されていたのは、「おとうさん2023」、「青い軽トラ2023」、「みどりちゃん2024」、「まだ、大丈夫NV」の4本。神宮前にある角打ちワイン酒屋no.501の店員さんがそれぞれのワインについて丁寧に説明してくれました。「果実味がガツンときて、普段ワインを飲まない人にも楽しみやすいワインが多いです」とのこと。その言葉の通り、いずれも果実感と酸のバランスが良く、“するする飲める”ワインと言う印象でした。
VOLCANALIA

このブースは輸入元である鎌倉を拠点に、ナチュールワインを取り扱うcendre(サンドル)さんが対応されていました。
VOLCANALIAは、ヴェネト州出身のRossellaさんによる火山性土壌に由来する個性にフォーカスしたワインのセレクション/プロジェクトです。産地や品種の違いを超えて「テロワールとしての火山」を共通言語に据えているのが特徴です。また、火山性土壌はフィロキセラ(ぶどうの木につく害虫)の影響を受けにくく、ヨーロッパの多くの地域では対策としてアメリカ系ぶどうの根に接ぎ木をしていますが、自根のぶどうの木が残っている例も多いとのこと。
この日はオレンジワインの「battibaleno 2021」とスパークリングの「ambaraba 2020」が並んでいました。ミネラル感や引き締まった酸は土壌由来のものだそうです。どちらも和食に合う味わいでした。
indigo(輸入元)

「まだ日本にはない特別な商品」を手がけているindigoのブースでは、2本のアルザス産のビオデナミワインが提供されていました。
ひとつはドメーヌ・アキレの白ワイン「アルザス マセレ」。アルザスの12種類の品種をブレンドしているので、この名前がついているそうです。とてもバランスが良く、和食との相性も良いワインです。もうひとつは亜硫酸無添加で造られたドメーヌ・ペパンのオレンジワイン「ペパン オランジュ」。アペリティフからメインまで1本で楽しめてしまうような、懐の深さを感じるワインでした。
BK WINES

オーストラリアのアデレードヒルズに拠点を置くBK Wines。野生酵母での発酵や亜硫酸の最小限の使用を前提に、ナチュールワインを手がけています。ブースには輸入元のkpオーチャードの方がいらっしゃり、自然派で美味しいワインを造るためにとても手をかけて醸造しているのだとお話しされていました。さらに、「ワインに詳しい人にしかわからないワインではなく、誰が飲んでも楽しくて美味しいワイン」と造りだけでなく味わいにも自信をのぞかせていました。設立者のブレンダン・キースさんは若手のナチュールワインの造り手から、尊敬されているそうです。
この日は「スキンアンドボーンズ ピノ・ノワール2024」をいただきました。華やかな香りが印象的で、全房発酵100%でありながらも、アルコール度数は12%に抑えられたスパイス感のあるキレイな味わいです。ほかにもシャルドネ主体の「ガット・フィーリング2024」、ピノ・グリ100%の「ラマート2023」が並んでいました。
レ・ヴァン・デブルィヤース

フランス語で「豊かなワイン」を意味する造り手です。ワイングロワーのチャールズ・ローレンスさん(写真左)とぶどう栽培者の鳴沢佳生子さん(写真右)の夫婦が、手がけています。現在は委託醸造でワイン造りを行っていますが、自社ぶどうのみを使ったワイナリーを今年中にオープンさせる予定だそうです。長野県塩尻で自然農法にこだわるだけではなく、剪定枝を炭にして畑にまくなど、畑内で資源を循環する取り組みをしています。
この日に試飲したのは、メルローとカベルネ・フランを一緒に発酵させて造った「MELLOW CAB」。深い果実味と複雑さを兼ね備えたワインです。他のワインも飲んでみたいと思えるような、わくわくするワインでした。
寺田本家

千葉県香取郡にある日本酒の造り手です。原料である米は、千葉県や茨城県の農家が無農薬・無化学肥料にこだわって栽培。生酛造りや菩提酛仕込みなど、自然酒造りに取り組んでいます。
用意されていた「醍醐のしずく」は、仕込み前に米と水を浸して自然の乳酸菌を増やした「そやし水」を用いて酒母を育てる菩提酛仕込みの日本酒です。ナチュール系と呼ばれる日本酒を飲むのは初めてだったのですが、トロピカルフルーツのような甘酸っぱさとともに、米の存在感も楽しめる満足感のある味わいでした。
短時間で造り手の思いが伝わる試飲会
創業者でマスター・オブ・ワイン(MW)のイザベル・レジュロンさんが登壇した、RAW WINE TOKYOの意義や見どころなどについて語られた内容は前回紹介しました。
自然派ワインを“造り手と楽しむ”2日間「RAW WINE TOKYO」開催、創業者が語る意義と見どころ
試飲パートは1時間に満たない短い時間でしたが、一言で“ナチュールワイン”と表しても、さまざまな方法があり、造り手の思いがあると感じられました。次回の記事では、75のナチュールワインの生産者が集まった、RAW WINE TOKYOのレポートをお送りします。
