5月10日、11日に東京流通センターで開催された、世界最大級のナチュールワインイベント「RAW WINE TOKYO 2026」。2日間で2200人以上が来場し、造り手と交流しながら試飲を楽しみました。
この記事では、実際に試飲した中から、他の造り手から「ここのお酒を飲んだ方がいい」とおすすめされた5つの日本酒・焼酎ブースを紹介します。
目次
寺田本家

“発酵の里”として知られている千葉県神崎町にある酒蔵です。1673年に創業し、現在も機械に頼らない手作業による伝統的な酒造りを続けています。
濃厚さとキレがありさまざまな食事と合わせたくなる「五人娘 自然のまんま」から、余韻の長い「ささ」、乳酸の味わいが印象的な「醍醐のしずく」、味わいの膨らみがあり燗でも飲んでみたい「純米香取90生原酒」など、提供されていた日本酒はどれも個性的でした。

特に印象的だったのは“日本一まずい”とも紹介される「発芽玄米酒 むすひ」です。日本酒では感じたことのない“ぬか漬け感”があって驚きましたが、独特の味わいが癖になると感じられました。
【提供日本酒】
五人娘 自然のまんま
ささ
醍醐のしずく
純米香取90生原酒
発芽玄米酒 むすひ
仁井田本家

福島県郡山市にある1711年創業の老舗酒蔵です。無農薬・無化学肥料の米を使い、手間のかかる作り方で“自然酒”を追求。自然酒ブームの代表格ともいえる造り手です。
ずらりと並んだ日本酒は、いずれも冷やして飲みたいきれいな味わいですが、酸や旨味など個性豊か。料理も合わせやすく、ナチュラル志向の枠を超えて酒好きに支持される味わいだと感じました。後日オンラインストアでサブスクサービスがあると知り、思わず注文するほど日常に取り入れたくなる日本酒です。

【提供日本酒】
にいだしぜんしゅ 純米吟醸
にいだしぜんしゅ めろん3.33
にいだしぜんしゅ 生もと O.K 木桶仕込み
にいだしぜんしゅ 水酛木桶仕込
にいだぐらんくりゅ2025
にいだぐらんくりゅ2022
百年貴醸酒
パタゴニアが届ける日本酒

寺田本家と仁井田本家が手がける日本酒は、アウトドアブランド・パタゴニアからも販売されています。それが、寺田本家が手がける「繁土(はんど)」と仁井田本家の「しぜんしゅ やまもり」です。
これは、環境負荷の少ない農業や漁業を支援しながら、オーガニックで地球を救うことを目的とした“パタゴニア プロビジョンズ”の一環として手がけているもの。
「繁土(はんど)」は豊かな自然そのものや手仕事、「しぜんしゅ やまもり」は水源である山を守るというメッセージが込められているそうです。
美吉野醸造

奈良・吉野で1893年に創業した“花巴”で知られる造り手です。2017年から全量酵母無添加となり、吉野杉を使った木桶発酵を活かすなど、土地の個性を映す酒造りをしています。私の地元にある酒屋一押しの蔵元であり、今回お話を聞けるのを楽しみにしていました。

代表的な花巴の「水酛生酒」「山廃生酒」から始まり、1つひとつ丁寧に説明をしてくれました。「自然淘汰Natural Selection」では仕込んだ季節で変わる味わいの違い、「樽丸シリーズ」では吉野杉の存在感がありながらも食事と合わせたくなる味わいなど、自然と向き合いながら挑戦を続ける花巴の底力を感じました。一貫してキレイさを感じる味わいであり、日本酒における酸のイメージが変わる体験となった印象です。
【提供日本酒】
花巴 水酛生酒
花巴 山廃生酒
花巴 Hazy うすにごり生酒
花巴 Organic
自然淘汰 Natural Selection
花巴 Splash
花巴 Sodapop スパークリング
花巴 樽丸シリーズ
木戸泉酒造

寺田本家から「ワイン好きにこそ飲んでほしい」と名前が挙がり、同じく熟成酒に力を入れる金沢の老舗蔵・福光屋からもおすすめされた酒蔵です。
千葉県いすみ市にある1879年創業の老舗で、独自の「高温山廃仕込み」による長期熟成酒の先駆者としても知られています。ブースには杜氏の荘司勇人さんがいらしたのですが、丁寧に説明をしてくれ、一つひとつの日本酒に込められた情熱を感じました。
熟成によって深まった複雑さは、日本酒というジャンルさえ超えているような気がします。複数の造り手から名前が挙がったのが、納得できる味わいでした。

【提供日本酒】
K Zero
K Ensemble
AFS Zero
Afruge No.1 2018
Afruge Ma Cherie
AFS E
白石酒造

パタゴニアからぜひ味わってとおすすめされた焼酎蔵です。1894年に鹿児島県いちき串木野市で創業。自社畑での無農薬・無肥料栽培した原料芋を使い、伝統的な甕仕込みを続けています。
並んでいたのは、代表銘柄である「天狗櫻」の原酒のほか、芋の個性が光る焼酎です。品種や畑によってこれほどの味わいの違いが出るのかと、芋焼酎の奥深さに気づかされました。これほどの種類の焼酎を飲み比べできたのは、とても貴重な機会でした。
【提供焼酎】
紅芋混植
紫芋混植
南果
ジョイホワイト
混植13品種
天狗櫻・原酒
お互いのリスペクトが伝わる空間
おすすめを聞いた多くの造り手が名前を挙げたのが、仁井田本家、寺田本家、美吉野醸造です。美吉野醸造の橋本晃明さん(杜氏/専務取締役)と木戸泉酒造の荘司勇人(杜氏/代表)は、当日行われたセミナー「日本酒における自然醸造とは?」にも登壇。来場者からも注目されている造り手であることがうかがえます。
今回は紹介しきれませんでしたが、福光屋や福寿など個性的な酒蔵も出展していました。あらためて日本の酒造りの奥深さを感じる時間に。また、RAW WINEに出展されていた造り手は、お互いをリスペクトし合っていることが伝わってきました。
世界中を旅するRAW WINEでも、日本でだけ出会える造り手たち。来年も進化する日本酒や焼酎に出会えるのが楽しみです。
