こんにちは。昨年ワインエキスパートを取得した中川茉那です。
先日、会社で「感謝の会」という普段お世話になっている方々や幹部の方も参加されるパーティーがありました。
ありがたいことに、ワインのセレクトを任せていただきました。
ワインエキスパートとしては、とても嬉しい機会です。
今回の条件はシンプルで、白ワイン好きの幹部の方に向けて予算約1万円で白ワインを3本選ぶこと。
1本あたり3,000円前後という限られた中で、「ちゃんと美味しい」と思っていただけるワインを選ばなければいけません。
なかなか悩ましいですが、逆に言えば腕の見せどころでもあります。
今回はそんな条件の中で、ワインエキスパートとして選んだ白ワイン3本と選定のポイント、そして実際に飲んでみた感想をまとめていきます。
……と、ここまでは完全に計画通りでした。
ただ、当日はひとつ予想外の出来事が起こります。
幹部の方が持ってきてくださったシャンパーニュが、想像以上にすごかったのです。
ワイン選びの参考にもなりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
💡厳選!1万円で買える白ワイン3本!

今回、予算約1万円の中で選んだ白ワインがこちらです。
①Domaine Edmond Chalmeau Bourgogne Aligoté 2023
(ドメーヌ・エドモン・シャルモー ブルゴーニュ・アリゴテ 2023)
②Anselmo Mendes Muros Antigos Alvarinho 2023
(アンセルモ・メンデス ムロス・アンティゴス アルバリーニョ 2023)
③Weingut Bernhard Koch Riesling Z Trocken
(ヴァイングート・ベルンハルト・コッホ リースリング Z トロッケン)
合計で10,450円。
ポイントはシンプルで、バランスよくキャラクターを分けることです。
同じ白ワインでも、味わいや印象が似てしまうと単調になってしまうため、あえて産地や品種をばらけさせ、それぞれに違う魅力が感じられる構成にしました。
①ブルゴーニュのアリゴテ
しっかりとした酸とミネラル感が特徴のワインです。特に今回はシャブリと同じ「キンメリジャン土壌」由来のミネラル感が感じられる一本で、全体を引き締める役割として選びました。
②ポルトガルのアルバリーニョ
アルバリーニョは「海のブドウ」とも呼ばれる品種で、海沿いの産地らしい塩味やフレッシュな果実味が特徴です。魚介との相性も良く、場の雰囲気を少し華やかにしてくれる存在として取り入れました。
③ドイツのリースリング
アロマティックで華やかな香りを持ちながら、繊細でバランスの取れた味わいが魅力です。生産者はオーナーが日本人ということもあり、非常に丁寧で落ち着いたスタイルに仕上がっており、幅広い方に受け入れられやすい一本だと感じています。
この3本で、すっきりとした酸・ミネラル感・華やかな香りと果実味といった、白ワインの楽しさを一通りカバーできる構成にしました。
🐟ミネラル感が魚にピッタリ!ブルゴーニュのアリゴテ

最初に飲んだのがアリゴテです。
アリゴテといえば酸がしっかりしているイメージがありますが、今回のワインはキリッと酸っぱいというより、ミネラル感がしっかり前に出ている印象でした。
このワインを造るドメーヌ・エドモン・シャルモーは、ブルゴーニュ北部、シャブリに近いシトリに位置する生産者で、200年以上続く歴史を持つ家系。現在は兄弟でドメーヌを運営しています。
「ワインは畑で生まれる」という考えのもと、除草剤を使わず有機肥料を取り入れた栽培を行い、収量も抑えながら丁寧にブドウを育てています。
また、野生酵母での発酵や長期熟成を取り入れることで、果実味だけでなく奥行きのある味わいとミネラル感をしっかりと引き出しているのが特徴です。
実際に飲んでみても、その造りの丁寧さがそのまま表れているように感じました。
今回のケータリングにはお魚料理があり、バジルソースがかかっていたのですが、これとの相性がとても良かったです。
生魚の繊細さとバジルの香りを、酸とミネラルがうまくまとめてくれる感覚がありました。
「最初の一杯として、口を整えてくれる前菜と合わせたい1本」でした。
🌊塩味が料理を引き立てる!ポルトガルのアルバリーニョ

続いてアルバリーニョ。
こちらもミネラル感はしっかりあるのですが、アリゴテと比べると少し味わいに厚みがあるタイプでした。
もう少し軽やかな印象を想像していたのですが、いい意味で裏切られてしっかりとした飲みごたえがあります。
それでも重すぎることはなく、バランスの良い満足感のある味わいです。アルバリーニョは、スペインとの国境に近い北西部、ポルトガルでいうとミーニョ地方、スペイン側でいうとガリシア地方に広がるエリアで造られています。
この地域は大西洋に面した冷涼な海洋性気候で、リアス・バイシャスと呼ばれるスペインの有名産地とも隣接しており、アルバリーニョの一大産地として知られています。
このあたりの地域は、実は食文化の面でも日本と共通点があります。
特に魚介類が豊富、海外では珍しいタコを使った料理も日常的に食べられており、全体的に素材を活かしたシンプルな味付けが多いのが特徴です。
そのため、そこで造られるワインも、魚介に合わせやすいフレッシュさやミネラル感を持っており、日本人の味覚にもとても馴染みやすいスタイルになっています。
実際に飲んでみても親しみやすい印象で、ワインにあまり慣れていない方にも受け入れられやすい一本だと感じました。
ワイン好きの上司からも「これ美味しいね」とコメントをいただけて、選んでよかったなと感じました。
🫧フレッシュで繊細!ドイツのリースリング

そしてドイツのリースリングについて、今回選んだ1本には少し面白い背景があります。
このワイナリーは、オーナーが日本人の方なんです。
その影響もあってか全体的にとても繊細で、丁寧に造られている印象を受けました。
リースリングといえば、華やかでアロマティックな香りが特徴的な品種ですが、今回のものはそれが前に出すぎることなく、フレッシュさとバランスの良さが際立つスタイルでした。
飲んだ瞬間にまず印象に残ったのが、舌をピリッと軽く刺激するような微発泡のニュアンスです。
このほんのりとした刺激がとても心地よく、一気に口の中がリフレッシュされるような感覚がありました。
飲み口は軽やかでクドさがなく、すっと体に入ってくる感覚があります。
やりすぎない美味しさは、日本人の味覚にとても合いやすいポイントだと思います。
実際に飲んでみても、スッと違和感なくスルスル飲めるので、気づいたらグラスが空いてしまうワインでした。
今回の食事の中でも、魚料理だけでなくチキンにもピッタリで、料理を選ばず楽しめる万能さがありました。
繊細でバランスが良く、幅広い料理に合う日本人の舌にも馴染むリースリングです。
🍾やっぱり勝てませんわ…すべてを持っていったシャンパーニュ

そして今回、いちばん印象に残っているのが、やはり乾杯でいただいたシャンパーニュです。
会のスタートで開けられたその一本。
最初の一杯だったはずなのに、最後まで記憶に残り続ける存在になりました。
今回いただいたのは、
アンリ・ジロー(Henri Giraud)のグラン・クリュ。
これ、なんと1本3万円以上するシャンパーニュです。
「あの、アンリ・ジローが…」と、内心ざわつきながらグラスを手に取りました。
グラスに注がれる前から、ふわっと立ち上がる香り。
まだしっかりと嗅いでいないのに、熟成を感じさせるような、少し香ばしさのあるニュアンスがすでに漂ってきます。
そして口に含むと味わいは意外にもドライ、その後からじわじわと広がる熟成感、そして長く続く余韻。
この時間差で来る深みがとても印象的でした。

今回選んだ白ワイン3本も、どれも自信を持っておすすめできる味でしたし、実際に喜んでいただけたのも嬉しいポイントでした。
それでも「アンリ・ジローはやっぱり別格だったな」と、素直に感じました。
料理と合わせるというよりも、単体で完成しているような存在感。
乾杯の一杯として登場したにもかかわらず、余韻がずっと残り続ける体験ができました。
🧐ワイン選びに迷ったら○○○を軸にする!

今回改めて感じたのは、やはりワインを選ぶこと自体の面白さです。
限られた予算の中で、誰と飲むのか、どんな料理が出るのかを考えながら組み立てていくプロセスには、正解がないからこそ楽しい部分があります。
とはいえ、じゃあ自分で選べるかというと、難しいと感じる方も多いと思います。
そんなときは無理に一人で選ぼうとせず、ワインショップの方に相談するのが一番確実です。
そしてそのときに大事なのが「どんなワインがいいか」ではなく、「何を食べる予定か」を伝えること。
これが、ワイン選びのいちばん大きな軸になります。
例えば今回のように、生のお魚が出るのであれば、しっかりとした酸とミネラル感のあるアリゴテはとても相性が良く、料理の美味しさを引き立ててくれます。
一方で、樽の効いたリッチでやや甘みのあるシャルドネを合わせてしまうと、魚の繊細さが崩れてしまい、場合によっては生臭さを感じてしまうこともあります。
せっかくのお料理も、ワインの選び方ひとつで印象が変わってしまうんですよね。

だからこそ、「今日は何を食べるか」でワインを選ぶ。
これが一番シンプルで、そして満足度の高い選び方です。
「辛口の白で」といった伝え方も悪くはないですが、それだけだと選択肢が広すぎて、逆にお店の方も迷ってしまいます。
少し具体的に、料理やシーンを伝えるだけで、ぐっと精度の高い提案をしてもらえます。
ぜひあなたも、ワイン選びを楽しんでみてください。
