世界各国、それぞれの国で特産品のお酒があります
日本なら、日本酒や焼酎
アメリカならバーボンウイスキー
イギリスならスコッチウイスキーやジン
などなど……醸造酒、蒸留酒様々ありますね
ではブラジルのお酒と言えば?
カシャッサです!
今回は日本ではまだあまり馴染みのないカシャッサの魅力についてお話ししたいと思います
目次
カシャッサの原料
カシャッサはサトウキビを搾ったジュースから作られています
この点はカリブ海の島々などで作られている「ラム」と共通していますね
ラムは砂糖生産の副産物である糖蜜を原料としたもの、サトウキビを搾ったジュースを原料としたもの、サトウキビのジュースを煮詰めてシロップ化したものを原料としたもの、大きく分けてこの3つの製法があります
サトウキビのジュースから作られているラムを「アグリコールラム」と呼びます
このアグリコールラムと基本的な製法は一緒なのですが、カシャッサと名乗るためにはブラジルで定められた法律に則っていなければなりません
まず原料のサトウキビはブラジルで生産されていなければならない事
アルコール度数は38%〜48%であること
この2点に則っていなければなりません
なお製品1Lに対し6gまでの加糖が許されています
カシャッサ以外のサトウキビを原料とする蒸留酒はブラジルでは、アグアルデンチ・ヂ・カーナとされていますが、ラムと記載されることが多いようです
アグアルデンチ・ヂ・カーナにも法律がありますが今回は割愛させていただきます
カシャッサの分類
ラムに3つの製法による分類があるように、カシャッサにも分類があります
カシャッサの場合は原料はサトウキビのジュースでなければならない為、主に製法によって分類されます
まずクリアな酒質の物が多い「カシャッサ・インダストリアル」
蒸留機は、一部が銅で出来ているステンレス製連続式蒸留機が使われています
インダストリアル=工業的な という意味で、大量生産を目的としています
蒸留前の発酵には化学培養酵母が使用されます
発酵時間は8時間〜16時間と比較的短めです
カシャッサ生産の75%を占めます
主にカクテルベースとして使われることが多いです
次に「カシャッサ・アルティザナウ」
こちらは単式蒸留機や半連続式の蒸留機が使われています
アルティザナウ=芸術的な という意味で、小規模蒸留所のハンドメイドカシャッサです
蒸留前の発酵には天然酵母が使われることが多い
発酵時間は14時間〜24時間です
ストレートでも楽しめる味わいです
樽に使われるブラジル特産の木
カシャッサの個性を決める最大の特徴と言ってもいいのが樽材です
もちろんサトウキビの品質や蒸留技術も非常に重要なのですが、私が初めてアルティザナウに分類されるカシャッサを飲んだ時に、今までの常識が覆されました
ラムは日頃から色々と飲ませてもらっていて、カシャッサの存在を知った時に、アグリコールラムの親戚のような物だと思いました。しかしながらそれは大きな間違いで、ラムはもちろん他の蒸留酒では味わえない特徴的で忘れられない味だったのです。原料を同じくするアグリコールラムとここまで違うものかと、自分の勝手な思い込みが恥ずかしくなるくらい美味しく個性的でした
カシャッサの熟成に使われるブラジルの特産木は40種類以上あります
代表的なものをいくつかご紹介しましょう
・アンブラーナ
ウンブラーナとも呼ばれるこの木は原酒に甘めの香りとバニラやシナモンなどのスパイスの香りや、どこか和風なエキゾチックな風味を与えます
・バルサモ
スーッとする野菜のような植物感と、アニスなどのスパイスの香りが特徴的です
・ササフラス
スパイス系の香りに加えて、ペパーミントのような冷涼感があります。「ような」という言葉では収まらないほどのミント感があり、この樽で熟成したカシャッサを飲むと衝撃を受けると思います
上記3つはブラジルの特産木です
他にもラムやウイスキーなどでも使われるオーク材も使われます
ブラジルではオークの木をカルヴァーリョと呼び、アメリカンオークはアメリカーノ、フレンチオークはフレンセースと呼びます
アメリカーノはバニラやココナツなどの甘く香ばしい香りがあり、フレンセースはジャスミンの花のようなエレガントな香りが感じられます
代表的なカシャッサ
それでは比較的手に入りやすいカシャッサを紹介させていただきます
・カシャッサ51
日本では一番有名、というより「カシャッサ=51」というイメージがあるかもしれません
こちらはインダストリアル製法です。上級品に熟成している商品もありますが、量産されて多く流通しているものは透明な熟成していないタイプですね
比較的安価で販売されていて、カシャッサを試してみたいという方にもおすすめです
また、先に述べた通り、カシャッサはサトウキビジュース100%で作らなければならないため、味わいはアグリコールラムに似ているため、アグリコールラムを試してみたいけど、ちょっと試すには値段が高い……と感じる方にも、味を知るという意味ではオススメです
ただし =アグリコールラム ではないので、そこは注意ですね
カシャッサを使った代表的なカクテルに「カイピリーニャ」という物があります
砂糖とライムとカシャッサだけで出来るシンプルなカクテルですが、ライムの酸味と砂糖の甘さで、とても元気になれる美味しいカクテルです
51は実質カイピリーニャのためのカシャッサと言ってもいいくらい飲食店での採用率が高いカシャッサです
シンプルな味わいなので、カイピリーニャ以外にもソーダ割りや好きなジュースで割っても美味しいですよ
・セレッタ
セレッタはアルティザナウタイプのカシャッサでは見かけることが(日本では)一番多いかもしれません
670mlと700mlの規格を見たことがありますが、700mlの方でも¥2,500しないくらいで販売されていたと思います
アンブラーナの樽で熟成していて、ウイスキーやラムでは感じられない独特な風味を持っています
味覚で言えば甘めで、少々スパイシーな感じもあります。アジア系のお菓子っぽさがあり、多くの人が魅了されています
熟成されたアルティザナウで作るカイピリーニャは味わい深さがありつつも、ゴクゴクと飲みたくなる爽快感も兼ね備えています。
ボトルごと冷凍庫に入れておくと、アルコールの特性上、とろみがつき、舌触りに変化があって、それまた美味しいですよ
・ボアジーニャ
セレッタと同じところが出しているカシャッサです
セレッタがアンブラーナの木樽で熟成していたのに対し、ボアジーニャはバルサモの木樽で熟成をしています
樽の材質が違うだけで、原酒は同じものとなるため、飲み比べも楽しいですね
ボアジーニャは芳醇な香りと鼻に抜けるような清涼感が特徴です
芳醇な香りはバナナのようだと言われることが多いですが、日本人には馴染み深い桜餅のようだともよく言われています
桜のあの香りと、葉の塩漬けの感じを連想するようですね
それでいてサトウキビの風味も感じられて、なんとも複雑な味わいです
複雑な味わいですが、酒質自体は軽い印象を受けます
カイピリーニャやソーダ割りも美味しいですが、ストレートやロックでも楽しめますよ
いかがでしたでしょうか
まだ日本ではあまり馴染みのないカシャッサですが、味わい自体は親しみやすいと思います
ブラジルの特産木を使うことから、他の蒸留酒にはない唯一無二の味わいがあります
ウイスキーのハイボールやジントニックは家で作るという方、今後のバリエーションとして晩酌用にカシャッサ、1本いかがですか?